ドローン新技術加速を 中山間地の輸送などへ前進

鶴保 庸介

 ドローンの社会実装に向けた取り組みが本格化しています。ドローンを使用した貨物輸送に向けた実証実験が日本各地で実施、もしくは実施予定で、国家戦略特区指定のものから民間企業が主導するもの、はたまた大学が研究で行うものなど、その内容もさまざまです。
 そんな中、10月末から福島県において日本郵便㈱が実証実験を行っており、私も近日中に視察に訪れる予定にしています。この実験は、小高郵便局(南相馬市)~浪江郵便局(浪江町)の9㌔の距離をドローンを使用して荷物配送を行うというもので、①目視外飛行②補助者なし、という2点において、社会実装に向け前進した内容だと言えるかと思います。
 転げ落ちてしまいそうな細くくねくねと曲がった農道を軽トラックで行き来する、といった光景は和歌山ではさして珍しくもありません。足腰の弱ったお年寄りが気軽に買い物に行くこともできない、不便極まりない状況も当たり前のようになってしまっています。この現状を何とかしようと、これまでタクシーなどで貨客混載(貨物と旅客の輸送を一緒に行うこと)といった政策も進めてきましたが、それにも限界があります。
 ドローンの社会実装に向けては、私もこれまでさまざまな協力も得ながら取り組んできました。例えば、大日本猟友会は協力的で、今や有害鳥獣の生息数把握のためにドローンを活用して成果を上げています。私が国土交通副大臣時代にはi-Constructionを推進してきましたが、例えばこれまで人の手で何日もかけて行っていた測量を、ドローンを活用して半日で仕上げるような工事事例も数多く出てきています。また、今年は残念ながら自然災害が頻発しましたが、被災状況の把握にドローンが活用されているのは多くの方がご存じだと思います。
 一方で、荷物の配送ということになるとまだまだ途上ではあります。荷物は当然、人のいるところに届ける場合が多く、より安全性が求められるというのが最大の原因です。ただ、私は和歌山のような山がちな中山間地においてこそ、ドローンはぴったりの輸送機だと考えてきました。そもそも、ドローンが空を飛んで危険だというなら、川の上など危険でない空路を指定するなど方法はいくらでもあります。どこに行っても人が歩いている都心部と、住宅もまばらにしかない地方の山間地で同じ考えをする必要などどこにもないはずです。
 今の日本はさまざまな業界で人手不足が深刻で、経営は黒字でも“人手不足倒産”を余儀なくされる会社(例えば運送会社)が後を絶ちません。現在国会では外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正案の審議が始まっていますが、科学技術の力を借りて人手不足を補えるものならそれに越したことはありません。その最たる例の一つがドローンなのです。生産性向上に資する新技術の実装化に向けた取り組みを一層加速化させねばならないことは間違いのない事実で、そのために必要なことはどんなことでもする決意です。

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