地域に愛され40年 打田バッティングセンター

少子化などに伴いスポーツを取り巻く環境が厳しさを増す中、和歌山県紀の川市打田の打田バッティングセンターは、年齢や性別を性問わず幅広い世代が楽しめる施設として地域に親しまれ、昨年8月には開設から40年を迎えた。和歌山ゆかりのプロ野球名選手らが汗を流した施設でもある。経営する横山登男(たかお)さん(79)に思いを尋ねた。

横山さんが施設を開設したのは1978年8月。それまでは先祖代々受け継いだ打田の田畑でコメや野菜を育てる専業農家だったが、農地の一部を道路整備のために手放したことをきっかけに新しい仕事を模索するようになった。

粉河高校時代はソフトテニス部で近畿大会に出場するなど、小さい頃から体を動かすのが大好き。「スポーツに関する仕事をしたい」との気持ちが高まり、バッティングセンターの開設を思い立った。

開設から約10年間はセンターを運営しながら農業をする二足のわらじの生活が続いた。「早くセンターを軌道に乗せようと必死だった。眠れない日が続いた」と振り返る。事業を支えたのは当時流行していたインベーダーゲームの店内設置。次々と人が訪れ横山さんは「一時は(センターの)売り上げの約半分はゲームでしたね」と笑顔を見せる。開設から10年後に現在地へ移転し、規模も拡大。6人が同時に打つことができる環境を整備した。

訪れた人の中には千葉ロッテの益田直也投手や東京ヤクルトの川端慎吾内野手の姿もあり、昨年広島カープに入団した智弁和歌山高3年の林晃汰内野手も中学時代に通っていたという。

野球をする子どもの数が減少する中、閉店を余儀なくされるバッティングセンターも珍しくない。横山さんは「スポーツが多様化したことが大きいのでは。土地を借りたり、人を雇ったりしてセンターを経営することが難しくなったと思う」と話す。

現在は横山さんと妻の敏子さん(76)で運営。軟式の球速は90~140㌔。ソフトボールも打てる。横山さん自身も気分転換に120㌔程度の球を打つ。「最近はソフトを打つ女性のお客さんが多く、京奈和自動車道が開通してから奈良や大阪の人が増えました」とほほ笑む。日々の仕事について「高校生や20代の方が声を掛けてくれる。若い人と話せて楽しい。センターを始めた頃に来ていた小学生が親になり、子どもを連れて遊びに来てくれるとうれしいですね」と話し、「健康である限りずっと続けていきたい」と意気込んでいる。

営業は午前10時から夏は午後9時半、冬は午後8時半まで。水曜日定休。問い合わせは打田バッティングセンター(℡0736・77・5777)。

「若い人との交流が楽しい」と横山さん

「若い人との交流が楽しい」と横山さん

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