ともに4強ならず 県勢2校「夏へ」前向く

 第91回選抜高校野球大会は、9日目の3月31日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で準々決勝4試合が行われ、市立和歌山と智弁和歌山の2校が共に1点差で涙をのんだ。和歌山県勢2校がそろって8強入りしたのは1938年の海草中(現向陽)と海南中(現海南)が勝ち残って以来81年ぶり。最後まで試合がどちらに転ぶか分からない大熱戦を繰り広げた両校の選手たちに、聖地の大観衆から大きな拍手が送られた。

 ◇3回戦

智弁和歌山 1
明石商 1 0 1X

 〔智〕池田泰、小林樹―東妻〔明〕中森―水上▽本塁打=来田2(明)▽3塁打=東妻(智)▽2塁打=西川、黒川(智)水上、岡田、清水(明)
 智弁が1球に泣き2年連続の4強入りを逃した。明石商には昨秋の近畿大会で0―12の5回コールド負けを喫しており、大舞台での雪辱はならなかった。

 智弁は1回表、秋に抑え込まれた相手先発の中森から4四球を選び、押し出しで1点を先制。2点を追う5回は安打で出塁した西川を3番の黒川主将が左中間を破る適時2塁打で還し、無死1、3塁から5番の根来が右犠飛を放って追い付いた。その後は何度も得点圏に走者を進めたがあと1本が出ず、2試合連続で2桁安打を記録した強力打線が8安打にとどまり、勝ち越すことができなかった。

 投げては、本塁打を含む6安打で3点を献上した池田泰に代わり3回から小林樹が今大会2試合目の登板。140㌔台前半の直球とフォークを駆使し、5回以降は走者を得点圏に背負いながらも本塁を踏ませない粘りの投球を見せた。暗転したのは9回裏。第1打席で本塁打を放った俊足強打の来田を左打席に迎え、内角高めに投じたこの日104球目の直球を右翼席に運ばれ、万事休した。

 中谷仁監督は「7回以降を勝負どころと見ていたが、点を取り切れなかった」と声を絞り出し、「小林は予想以上に良いピッチングをしてくれた。大事な場面で選手の背中を押し、力を発揮させるような指導法を身に付けたい」と話した。

 小林樹の印象について、2塁打を放った5番の岡田は「高めの直球が速く伸びもあり、目線を下げるよう意識したが手を出してしまった。フォークも低めに決まっていて冬場の成長を感じた」と振り返っていた。

5回表、黒川の適時2塁打で生還する西川

5回表、黒川の適時2塁打で生還する西川

 ◇3回戦

習志野 1
市和歌山

 〔習〕岩沢、飯塚―兼子〔市〕柏山、岩本―米田▽2塁打=竹縄、高橋(習)、柏山(市)
 市高は1回裏、相手先発の立ち上がりを攻めて1死1、2塁とし、柏山、米田の連続適時打で3点を挙げた。2回から登板した相手のエース・飯塚からも3回に2死3塁、5回に2死1、2塁の好機をつくったが、140㌔台中盤の直球と鋭いスライダーに苦しみいずれも無得点。6回以降は全て三者凡退に終わるなど、「前の試合より球が高く浮いていた」と話す飯塚の前に4安打9三振と抑え込まれた。

 2試合連続での先発となった柏山は予定の3回を1失点。2番手の岩本はボールが先行して毎回出塁を許し、5、6回に1点ずつを失うと同点の7回には2死1、3塁から遊撃への内野安打を浴びて決勝点を奪われた。

 半田真一監督は2回以降沈黙した打線について「飯塚君に要所でキレのある素晴らしい直球を投げられた」と力負けを認め、「打つ時の始動を速く、振りをコンパクトにするよう指示はしたが攻略は難しかった。夏に対応できる攻撃力をつけたい」と打力の向上を誓った。

敗退が決まり、肩を落とす市高の選手ら

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