鈴木姓のルーツ救え 海南市が屋敷の復元PJ

藤白神社(和歌山県海南市藤白)内にある、鈴木姓のルーツとされる「鈴木屋敷」の再生・復元に向けた取り組みが進む中、海南市は「『甦(よみがえ)れ 鈴木の本家 今、ここに』~鈴木屋敷再生・復元プロジェクト」を立ち上げた。7月30日まで、ふるさと納税型クラウドファンディングによる支援を募っている。

鈴木姓は日本で多い名字の一つで直系の先祖をさかのぼれば、屋敷に住んでいた鈴木一族にたどり着くとされる。

平安時代末期に同地に移り住んだ鈴木家は同神社の神職を代々務め、全国に熊野信仰を広めた。122代当主が1942年に亡くなってからは、屋敷が空き家となり老朽化していた。

地域の観光資源にと、屋敷の所有者である同神社と海南商工会議所を中心に組織する「鈴木屋敷復元の会」が主体となって復元に向けた取り組みを実施。関東地方を中心に、鈴木姓に誇りを持つ人が集まり、後裔の繁栄を願う同族会である「関東藤白鈴木会」も積極的に活動を続ける。

再生・復元想定は江戸期に書かれた地誌『紀伊国名所図会』を調査し間取りなどを解明し、図会を参考に2022年3月末を目標に当時の面影をよみがえらせる。

必要な総工事費は約1億5000万円。屋敷を含む境内などが国史跡の指定を受けたことで、国や県・市の文化財関係の補助金約9000万円が活用できるようになったが、約6000万円の所有者負担が残る。

そこで、同市が県内初となる自治体が募集する大手クラウドファンディング「マクアケ」を使い、2017年度・2018年度合わせて44件の事業者向けクラウドファンディング支援を行う㈱紀陽銀行と連携して、企画や構想段階などの取り組みを開始。企業版ふるさと納税制度を活用し、寄付を募ることで補助を行い、2018年度は建物の解体調査などの費用500万円を達成した。

今回のふるさと納税型クラウドファンディングは、通常のふるさと納税と同様に寄付金控除の対象となる。5000円以上を寄付すると「鈴木証明書」、鈴木姓以外の人には「鈴木サポーター証」を発行する。1万円以上の寄付は同市の酒造メーカー3社がコラボした最高級清酒飲み比べセットや、文豪志賀直哉が愛用した高級入浴剤、同市のお菓子グループが提供する菓子セットなどを返礼品として贈る。

コースは他にも、2万円、3万円、4万円のコースがある。同市に住民票のある人は、返礼品は受け取ることができないので注意。

同市総務部企画財政課の藤田倫成課長補佐は「海南には鈴木屋敷のような素晴らしいところがたくさんある。地域の活性化を図るためにも多くの方にご支援いただけるとうれしい」、紀陽銀行の七良浴(しちりょうさこ)浩海南駅前支店連合店統括支店長兼海南法人営業部長は「鈴木屋敷は歴史があり、再生・復元で活性化につながる。全力で協力したい」と話している。

寄付はマクアケのサイトから鈴木屋敷で検索する。問い合わせは同市役所総務部企画財政課(℡073・483・8405、メールkikakuzaisei@city.kainan.lg.jp)。

再生・復元が進められる鈴木屋敷(海南市提供)

再生・復元が進められる鈴木屋敷(海南市提供)

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