豪州から紀伊路の旅 語り部と熊野古道巡礼

「熊野古道紀伊路語り部の会」(和歌山県海南市、柴田雄蔵会長)のメンバーで、国家通訳案内士の出石(いずいし)美佐さん(50)は5月下旬、オーストラリア人女性2人を海南市藤白地区から街道や山道をたどり下津町へ続く「熊野参詣道紀伊路」に案内。熊野古道ガイドが外国人を同ルートに案内する初事例となった。女性らは商業化されていない巡礼の道に平和な空気を感じたといい、旅の満足感を話した。同会は本年度の県観光連盟の観光功労者表彰を受けている。

紀伊路を訪れたのは、精神的な充実を目指すスピリチュアル旅行の企画会社を運営するシャロンさん(57)と庭の設計士ロージーさん(72)。2週間にわたる日本旅行のうち、和歌山には1週間滞在し高野山や南部、白浜に宿泊。紀伊路を訪れたのは同国在住の出石さんの友人の紹介がきっかけだった。

一行は藤白神社を出発し勾配の険しい山道を上がる途中、木々が途切れた場所で振り返り、眼下に広がる市街地の美しさに目を見張った。
また、境内が紀伊路として、県指定文化財になっている同市下津町橘本の福勝寺で、浦弘晴住職と交流を深めた。

シャロンさんは「とても特別な体験ができました。昔ながらの道が残され商業化されていない環境が印象的でした」
とにっこり。ロージーさんは「一歩一歩が素晴らしく感じられました。地元の人の生活に使われている道を歩いたことがとても楽しかったです」と話していた。

出石さんは2人について「感受性が豊かで、景観の美しさに感動するだけでなく熊野古道の巡礼の意味を知ろうとする姿勢で歩かれていました」と予想以上の満足感が得られたことの手応えを話し、「ガイドの務めは解説だけでなく、観光客が求めている場所に案内するという意義もあると思います。紀伊路の魅力をより多くの人に伝えたいです」と意欲を話していた。

左から出石さん、ロージーさん、シャロンさん、浦住職

左から出石さん、ロージーさん、シャロンさん、浦住職

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