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2003年05月01日

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若い世代が議論交わす 北東アジア共同体構築で
5_5.gif ■2003谷本龍哉

 昨年十一月に、「第一回目・中・韓次世代リーダーフォーラム」というものに参加した。この会合は、国際協力基金という機関が主催したもので、日本、中国、韓国のそれぞれから各国五人ずつ(政治・経済・学界・官界・メディアの各分野から一人ずつの若手)、合計十五人が参加し、二週間にわたって三カ国を回りながら「北東アジア共同体構築」について議論を行った。
 世界を見渡すと、一方では米国・カナダ・メキシコが北米共同体を形成し、また他方ではヨーロッパ各国がEU共同体を形成している。しかし、北東アジアにはまだ共同体構築へ向けた動きはない。日・中・韓の若い世代が議論を交わし、交流を深めることで共同体構築への道筋を作ろうというのが、このフォーラムの目的だった。
 国際交流基金の狙い通り、参加者同士は非常に仲良くなり、以来メールで情報交換し合ったり、お互いを訪問し合ったり、友好関係がずっと継続している。二週間を共に過ごしたことで、生涯の友人をたくさん得ることができたと思っている。
 こうして、韓国や中国に親しい友人が増えてくると、国同士が仲良くすることも簡単ではないかという思いが強くなってくる。国同士が仲良くなるためには、個人同士が仲良くなることが大事であることは言うまでもない。しかし、事はそれほど単純ではない。日本と、中国・韓国の問には、現状認識に非常な大きな開きがあるからである。
 フォーラムの中で、「アジアの将来にとっての最も大きな不安要素は何か」という議論をした時、参加者十五人中、日本人五人は全員「北朝鮮問題」と答えた。この答えはたいていの日本人にとって妥当な答えだと思う。しかし、中国と韓国の参加者十人は、全員「日本の軍事大国化」と答えた。この十人は各分野で活躍している三十代から四十代前半の若手で、海外での勤務経験も多く、保守的なタイプではない。そんな彼らでも、こういう答えが返ってくる。
 今、日本人で、日本が再び領土拡大のためにアジアの国々に戦争を仕掛けると考えている人はほとんどいないだろう。しかし、中国や韓国ではそれを心配している。「殴った方はすぐに忘れるが、殴られた方はいつまでも覚えている」。参加者の一人が議論の中で言った言葉である。
 また、先日、韓国新聞社の特派員十人と北朝鮮問題について議論した。そこで北朝鮮問題に関する認識に違いの大きさにがくぜんとした。
 彼らのほとんどは、「日本政府が北朝鮮問題を大きく取り上げるのは日本を軍事大国化するためのプロパガンダではないか。北朝鮮が脅威であるわけがない。北朝鮮にそこまでの力はない。彼らは現在窮乏しており援助の対象である」という見解であった。まったく予想していなかった意見なので、逆にそういう考え方もあるのかと感心してしまったくらいである。
 このように日本と、中国・韓国との間には大きな認識の違いがある。しかし、だからといって、仲良くやっていけないということではない。お互いが、認識の違いがあることを理解しながら、一つ一つ粘り強く問題解決に取り組んでいけば、北東アジア共同体構築も夢ではない。北米だって、ヨーロッパだってさまざまな違いや多様性を抱えながら、それでも前へ進んでいる。
 個人的な小さな掛け橋を少しずつ増やしながら、アジアの国同士の友好に努力していきたいと思っている。


(2003谷本龍哉)
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