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f_ss_sekou.jpg 世耕 弘成
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2003年07月23日

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大陸棚調査で国土拡大 ビッグプロジェクト動き出す
5_5.gif ■2003世耕弘成

 六月中旬、若手議員の勉強会で、「日本の国土と地形や地質が同じことが証明されれば、現在、周辺海域二百カイリの『大陸棚の範囲』が三百五十カイリに拡大できるそうなんだ」とある議員が話した。半信半疑、一体そんなことが本当に可能なことかどうか一度勉強会を開こう。
 私は、早速、担当している海上保安庁海洋情報部大陸棚調査室の谷室長を呼んで、数名の若手議員と勉強会を開くことにした。谷室長は二十年間にわたり、「大陸棚調査」一筋の職人気質を持った、役人にしては珍しくユニークなキャラクターである。話し方もユーモアたっぷり、とても興味をそそられる内容だった。
 出席した譲員全員も「これは国家的プロジェクトとしていける。今までなぜ放っておいたのか。すぐ行動に移そう」みんなの目は輝いた。今まで日の目を見なかった「大陸棚調査」が脚光を浴びる前ぶれである。
 昭和五十七年に採択された国連の海洋法条約によると、海底資源の管轄海域二百カイリまでの海底下を「大陸棚」と規定。自国の国土と地形や地質が地続きであることの証明ができれば、わが国の新たな「大陸棚」とすることが可能となる。なんと、国土面積の一・七倍(約六十五万平方キロメートル)の広さに国土が拡大されるのである。
 しかし、そのためには国連の「大陸棚の限界に関する委員会に対し、二〇〇九年五月までに地形や地質に関する詳細なデータを申請した上で、この委員会での厳正な審査をクリアしなければならない。
 もしも、新しい「大陸棚」が認められた場合には、金・銀のほかマンガン団塊やコバルト、天然ガスなど数十兆円分の膨大な海底資源がわが国のものとなる。また、民間企業での海底資源の探査に関する技術の育成も可能となり、調査結果は、将来、予想される南海地震など海底地震等の防災対策や地球温暖化対策など気候変動予測、漁業の振興などにも大いに活用できる。
 今まで、海上保安庁では、「大陸棚調査」に毎年二億円余の予算を組み、調査を実施していた。しかし、海底の精密な地殻調査、高性能の調査船舶や大量の機材も必要なことから現行の予算レベルでは絶望的な状況とされている。
 私たち大陸棚勉強会有志は、「現在のレベルでは調査を断念したのと同様、推定一千数百億を投じて、国家レベルのプロジェクトとして成功させよう」という意見で一致。それぞれで国会議員をまわり、賛同署名活動を実施することになった。私も同僚議員とペアを組み、参議院の先生方から短期間に四十四人の署名を集めた。最終的に衆・参議院合わせて七十五人の署名が集まったのである。
 七月一日、私たちは、自民党の国会議員七十五人分の賛同署名を携え、「海底資源が豊富な大陸棚に関する調査費の大幅な拡充」を求めて、総理官邸に福田康夫官房長官を訪問。福田官房長官も非常に関心を持ち、調査費として二〇〇九年までの六年間で約一千数百億円の予算措置を約束、「必ずやります」と積極的な姿勢を示してくれた。私たちのビッグプロジェクトが動き出した瞬間だ。


(2003世耕弘成)
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