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2003年08月26日

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コンピューターウイルスの脅威 住基ネットの導入には住民の納得いく形で
5_5.gif ■2003鶴保庸介

 ネットによるコンピューターウイルスの被害を個人で受けるなんてもう少し先だろう。なんて思っていたと告白すると、三年前、大真面目にコンピューター二〇〇〇年問題で総理官邸に泊まりこんだ政治家が何をやっているんだと笑われそうだ。しかし問題は現実に起きたのである。MSブラスター。初めは何が起こったのか理解できなかった。何度電源を入れてもパソコンが強制終了する。「保存していないデー夕は失われます」とクールに表示してくれる。「ちくしょう」コンピューターに向かって悪態をついていたのは私だけではなかったはずである。その後、新聞で猛威を振るうウイルスが同じ症状を生み出すものであることを知って、なにか初めて市民権を得たような、訳の分からん安心感がしてしまった。それが一般の怒りになるまでしばしの時間がかかったのは偽らざる事実である。
 言うまでもなく、昨今のIT関連企業の普及は著しく、知らず知らず社会を構成する重要な要素になってきている。しかし、問題はそれを使いこなす方の人間がその仕組みなりを理解していないことである。「ユーザーアカウントの設定」だの、「なんやら機能のカスタマイズ」だの、いつの間に日本はアメリカ言葉を話すようになったんだと悩んだ揚句に「致命的なエラー」。血の気が引くようなその表現にパソコンと数カ月離れて暮らしてみたりした諸兄も多いだろう。しかし、そうして世をすねてみたところで、時代は容赦ない。仕事にプライベートに、仕方なく電源を入れてみざるを得なくなる。
 しかし、それではいつまでも根本的な疑問がぬぐえない。第一、一つ問題が起こるたびに「すねて」いたのでは使い物にならないのである。その昔、学校の技術家庭科という科目があったように思ったが、自動車の仕組みについて授業されたとき、なぜエアコンの仕組みは勉強しないのか、などとひねくれたことを考えたが、まさに、現在はパソコンの基本となる原理ぐらいは教えてあげるべきではないか。
 このままではチャツプリンの「モダンタイムズ」よろしく人間が機械に使われる時代がやってくるのかもしれない。(古い、と言われる向きには最新映画「マトリックス」をご覧あれ)
 ITはそれ自体で便利になるものではなく、それを使って何をするかが大切である。しかし、どんなことができてどんなことができないか、が分からない。先日はあるIT関連の方々と話すうち、新しい取り組みをしているという話があった。経営者を集めてコンピューターを使ってどんなことができればより便利になるかというブレーンストーミングをした上で、商品化できるものがあればそれをソフト会社が製品化して提案するというのである。かなりの技術力が要求される点で誰でもができるという訳ではなさそうだが、提案された側の会社にしてみれば、より効率的に仕事ができるようになり、ソフトのコストが少々高くともビジネスとして十分やっていけるという。和歌山でもこうした取り組みをぜひともお願いしたいと考えている。とくに旧来の産業といわれる一次産業がITを使うことで何ができるか、積極的に提案をしてみるのも一方だし、勉強会を作ってみてもいいのではないか。
 住基ネットの導入にしても、いったい問題があるのかないのか、セキュリティーが万全かどうかは素人にはまったく分からない。おそらく、玄人であっても一部にしか分からないであろう。だとするならばできるだけ住民の納得がいく形で導入の可否が議論されるべきである。そしてその一般的平均的レベルがまだまだばらつきのある以上、導入に時間がかかっても仕方がないと考えている。
 いずれにせよ、ウイルスのおかげでいろんなことを考えさせられる夏である。


(2003鶴保庸介)
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