わかやま新報は、和歌山市を中心とする和歌山県北部唯一の日刊新聞です。
f_ss_nikai.jpg 二階 俊博
f_ss_nishi.jpg 西 博義
f_ss_ishida.jpg 石田 真敏
f_ss_tsuruho.jpg 鶴保 庸介
f_ss_sekou.jpg 世耕 弘成
f_ss_ooe.jpg 大江 康弘
f_ss_kishimoto.jpg 岸本 周平
f_ss_sakaguchi.jpg 阪口 直人
f_ss_tamaki.jpg 玉置 公良
サイト内を検索


5_5.gif
<<メイン>>
2004年06月01日

ganba_title.jpg
子どもたちの育成にもっと力を 児童養護施設「こばと学園」の改築計画
5_5.gif ■2004西博義

 五月中旬、 厚生労働省から社会福祉施設の整備予算について知らせを受けた。
 和歌山市直川にある 「こばと学園」 改築予算が認められたという知らせであった。 多くの関係者が待望していた予算だけにこんなうれしいことはない。
 「こばと学園」 は、 保護者がいない児童や家庭の事情で養護を必要とする子どもたちを入所させ、 養育・育成する、 家庭的な役割を持つ児童養護施設である。
 現在、 幼児から高校生まで約七十人の子どもたちが生活し、 近隣の学校に通学している。
 保育から社会人になるための自立教育まできめ細かな支援が必要な施設である。
 こばと学園は、 昭和二十九年に当時の海草郡三十三カ町村立の施設として開園された。 そのため、 施設自体は和歌山市にあるものの、 理事長には、 野上町長が就いている。
 こばと学園の改築については、 国の整備条件上、 対象外となっていたことから、 県や関係者から相談を受けていた。
 そこでまず、 実情を知るために、 三月六日、 施設を訪問させていただいた。 当日は土曜日でもあり、 突然行ってはご迷惑と思い、 学園にだけは事前に連絡させていただいた。
 行ってみてびっくり。 官公庁は休みにもかかわらず、 園長、 理事長はじめ県・和歌山市の社会福祉関係の皆さんがおそろいで迎えて下さったのである。
 はじめに、 施設の状況について説明していただいた。 昭和四十七年に本館の改築を行ってからすでに三十二年が経過しており、 食堂・浴室・幼児棟はさらに古く、 補修をしながら何とか運営してきたとのこと。
 その後、 施設内を案内していただいたが、 子どもたちは礼儀正しく挨拶して迎えてくれた。
 居室は七~十三人の大部屋で、 一人当たりの居住面積はわずか四平方㍍弱。 部屋には衣類の収納以外にテレビもなく、 布団を敷くと隙間がなくなる。 勉強できる環境には程遠い。
 勉強室は別棟に机が並べられていたが、 「合宿」 のような生活環境では、 学校から帰っても勉強が進まない子どもも多いようだ。
 最近では虐待による入所児童も増えており、 子どもや家族の状況に応じて新たなケア体制の整備も必要になってきていると説明を受けた。
 改築計画では、改築というものの実際は新築で、 同じ敷地に建て替えることになっている。
 ほとんどの部屋を二、 三人部屋とし、 落ち着いて生活や勉強ができるように計画されている。
 一日も早く、 新しい施設でこの子たちが過ごせるようにとの思いで、早速、週明けの月曜日、 厚生労働省の担当者に会い、 実情を説明するとともに、 地元関係者も一丸となって協力し取り組んでいることなどを強く訴えた。
 核家族化にともなって、 家庭はより脆くなり、親の摩擦は、 直接、 子どもにさまざまな影響を与える。 子どもの意思にかかわらず、 県内で三百二十五人の児童がこうした養護施設で生活している。
 高齢化社会。 老人ホームなど高齢者施設の充実ばかりに目が向きがちだが、 私たちは未来を託すべき子どもたちの育成にも、 もっと力を入れなければならない。


(2004西博義)
5_5.gif


5_5.gif

この記事と関連がありそうな過去の記事

powered by weblio