■2004世耕弘成
前々回の本欄にも書かせてもらったが、 埼玉八区の補欠選挙をきっかけに、 安倍晋三幹事長が進める党改革検証・推進委員会の 「政治とカネのあり方」 部会長に任命され党改革のもっとも難しい分野を担当することになった。 六月二日には党改革の中間提言としてまとめられ、 政治とカネについては、 党から議員への現金手渡しの慣行 (いわゆるモチ代) を廃止することなどを決めた。 現金手渡しなどというのはあまりに前近代的な慣行である。 党活動上必要であれば、 政党支部に対して振り込みを行えばいいだけの話である。 しかしこの政治とカネの改革には党内の抵抗が非常に大きかった。 現金をもらえなくなった議員たちからは一部ではあるが不平の声が上がったし、 結局当初私が目指していたインターネットによる政治資金収支の公開は見送らざるを得ない結果になった。
しかし情勢の変化は意外と早く訪れた。 参議院選挙の敗北、 日歯連から橋本派に対する一億円献金問題等が発生したためである。 参院選後安倍幹事長に呼ばれ党改革検証・推進委員会の事務局次長となって改革着実な実行の全体コーディネートをすることと、 日歯連事件を受けての政治とカネに関するさらなる改革メニューの検討を命じられた。
事務局長の塩崎恭久議員と入念に打ち合わせをし、 すでに辞任表明している安倍幹事長の残存任期中に改革を後戻りできないレベルにまで進めるために、 タスクフォースを編成し、 中間提言の改革メニューを細分化して、 それぞれに担当責任者を置き、 きめ細やかな工程管理をしながら進めていくことにした。 各責任者には党改革に知見・経験と情熱を持つ若手議員を選任し、 その補佐役として有能な党職員若手を配置して推進体制を整えた。 その結果中間提言で示された改革メニューの具体化は驚くほど急速に進展し、 候補者公募制度の詳細や、 議員による人事に関する自己申告制度の導入、 広報戦略の構築へ向けたコミュニケーション戦略統括委員会の創設などが続々と決まっていったのである。
私が中心となって進めた政治とカネの問題については、 インターネットによる党および所属議員の政治資金収支報告の公開、 政治献金を現金や小切手で受け取ることの禁止、 収支報告の際の残高証明の添付義務付け、 政治家個人への政策活動費の支給の廃止などを盛り込んだ。 どれも従来の感覚で考えると自民党内で受容されるレベルをはるかに超える内容であったが、 政治とカネに関する自民党への批判の高まりに強い危機感を持っていた安倍幹事長の決断で、 党内の反対を押し切ってすべて断行することになった。
九月十七日にはこれらの内容を党改革アクションプランとして発表した。 また二十二日には有楽町マリオン前で安倍幹事長とともに街頭で党改革について訴えた。 多数の聴衆が集まって、 われわれ若手議員の訴える自民党改革への取り組みについて、 熱心に耳を傾けてくれた。 残念ながら安倍幹事長は辞任表明をしているが、 今後とも党改革については何らかの立場で関わっていきたいと言ってくれている。
(2004世耕弘成)
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