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f_ss_nikai.jpg 二階 俊博
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2004年12月14日

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充実した障害者施策を 避けて通れない財政論的な議論
5_5.gif ■2004西博義

 先日、 地元の支援者の方からお手紙をいただいた。 手紙には 「障害者を支える制度が、 現在より後退するのではないか」 と心配するお尋ねがあった。
 厚生労働省は、 十月に、 これまでの施策を大きく転換する 「今後の障害保健福祉施策について」 という政策を発表した。
 現在の障害者施策は、 身体・知的・精神の障害ごとに分かれており、 難病や高次脳機能障害など、 それぞれの種別に該当しない障害に対応できない、 いわゆる 「谷間」 と呼ばれる問題がある。 また、 介護保険にしても、 若年世代の障害者は介護サービスを受けられない。
 新しい障害者施策では、 障害の種類や年齢にかかわらず、 サービスが受けられ、 住み慣れた地域で生活できるような制度づくりを目指している。
 我が家では、 十二年前に父が、 八年前に母が亡くなった。
 父は教員を定年退職する直前に急に目を患い、 やむなく数年早く退職。 その後、 さらに悪化してほとんど目が見えない視覚障害者になった。
 母は私たち三人の子どもを出産後しばらくして精神障害者となり、 三十五年間施設のお世話になった。
 私はいつの日にか母を自宅につれて帰り、 一緒に暮らしたいと思い続けてきた。 しかし、 母の病状が許さなかったこともさることながら、 介護保険制度のない時代に二人の障害者を抱える生活は、 私たち夫婦にとって限界をはるかに超えるものであり、 同居はどうしても決断できなかった。
 今回目指している 「障害のある人が普通に暮らせる地域づくり」 では、 地域の身近なところに障害者の拠点がある。
 NPO、 小規模作業所だけでなく、 空き教室や個人の住宅でもよく、 いろいろな障害の人や体の不自由な年配者が利用できるサービス拠点である。
 自宅でも施設でも自由に生活でき、 社会参加のための施設も利用できる。
 施設から会社等にも勤めることができるし、 自宅で訪問介護も受けることができる。
 極めて重度な障害者には別途、 十分なサービスを受けることができる仕組みも必要である。
 障害者は、 長期間にわたる施設への入所や入院を余儀なくされてきた。 ようやく社会の理解と支援を得て普通に地域の中で暮らす動きが始まっている。 障害を乗り越えて社会参加できる環境を整備していくために努力していきたい。
 少々楽観的な話に過ぎるという感がしないでもない。 財政難に陥っている障害者支援費制度を安定的に運営するために自己負担やサービスの効率化など財政論的な議論も避けて通れない。 障害者団体の方々から心配する声も聞かれる。
 しかし、 社会保障制度の 「谷間」 や不備などのために、 長い間、 苦労してきた障害者並びに家族の皆さんの思いは切実である。
 私は、 皆さまの声を幅広く聞きながら、 また、 私自身の経験も踏まえ、 この制度なら母を我が家に帰してやれたとか、 父がもっと生き甲斐を持って生活できたと確信できる改革をしたいと決意している。


(2004西博義)
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