■2005石田真敏
来年度に向け、 政府税制調査会で子育て支援の新たな税額控除を設ける検討に入ったと新聞で報じられるなど、 少子化対策が喫緊の課題として広く認識されるようになりました。
昨年来、 私も自民党国家戦略本部において少子化対策を担当し、 議論のたたき台となるべき緊急少子化対策を取りまとめました。 自民党の正式な施策となったわけではありませんが、 ポイントを紹介したいと思います。
(Ⅰ)趣旨
各種世論調査に見られる国民の意識及びニーズ、 さらに家族政策への対GDP比で日本の五倍近くの財政支出や、 育児休業制度など手厚い政策がとられているスウェーデンやフランスなどの少子化対策先進国の諸施策を参考にして、 日本における緊急少子化対策を提言する。
(Ⅱ)緊急少子化対策
(1)結婚・出産への支援
①若年雇用対策を充実して、 経済的な理由から結婚できない若者を減らす②異性と知り合う機会を増やす。 異性と知り合う機会、 結婚の仲介役の減少がみられる③妊娠・出産にかかる費用を軽減するため、 出産育児一時金(三十万円)を増額する④不妊治療へ保険を適用する。
(2)就業と育児の両立支援
①大都市圏の通勤事情等に鑑み、 産前休暇を十二週間に延長する②育児休業を子どもが満三歳になるまで取得可能にすると共に、 半日勤務、 隔日勤務等も可能とするようにする③子育て後の再就職を支援する。
(3)経済的負担の軽減
①児童手当を多子家族に傾斜配分する。 第一子には支給せず(親の最低限の責務)、 第二子二万円、 第三子以降三万円を満十八歳まで支給する(所得制限を設ける) ②三世代同居を推進する③教育費負担の軽減をはかる▽公立学校の教育の質を向上させ、 親の実質的な教育費負担を軽減する▽第三子以降の授業料免除について検討する④親の養育義務を明確化し、 離別した親による養育費支払いの履行を確保する。
(Ⅲ)財源
①高齢者から子育て世代へと政策資源(予算と人員)の一部を移動する②児童福祉政策を見直し、 少子化対策として組み替える③相続税のあり方を見直し、 相続税の基礎控除額をバブル期以前の水準にもどす。
※なお、 家庭や家族についての意識向上や働き方の見直し、 また小児医療や地域における育児支援等々は中長期対策として併記した。
以上が緊急少子化対策案の概要である。
平成十五年の合計特殊出生率が、 一・二九と過去最低を記録し、 この水準が続けば百年後に我が国の人口は現在の半分以下になり、 社会的に経済的にさまざまな弊害をもたらす危険性が予測されるだけに、 日本の最優先課題として早急に思い切った対策を立て、 出生率が上昇するような手立てを講じなければならない時です。
実効性のある少子化対策実現のため頑張ります。
(2005石田真敏)
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