わかやま新報は、和歌山市を中心とする和歌山県北部唯一の日刊新聞です。
f_ss_nikai.jpg 二階 俊博
f_ss_nishi.jpg 西 博義
f_ss_ishida.jpg 石田 真敏
f_ss_tsuruho.jpg 鶴保 庸介
f_ss_sekou.jpg 世耕 弘成
f_ss_ooe.jpg 大江 康弘
f_ss_kishimoto.jpg 岸本 周平
f_ss_sakaguchi.jpg 阪口 直人
f_ss_tamaki.jpg 玉置 公良
サイト内を検索


5_5.gif
<<メイン>>
2006年05月16日

ganba_title.jpg
「地産地消」のモデルケース めっけもん広場に学ぶ日本農業の挑戦
5_5.gif ■2006西博義

 今年の通常国会から農林水産委員会の理事に就任した。
 もともと農家の長男として生まれ、 小さい頃から高校を卒業するまで父の農業を手伝っただけに、 一度は担当してみたかった分野である。
 現在、 国会では、 「農業担い手経営安定交付金関連法案」 が審議されている。
 その内容は、 経営規模など一定の要件を満たす農業担い手に対して、 品目別ではなく交付金を交付するものである。
 新しい支援措置は2つに分かれ、 1つは生産条件格差是正対策(通称ゲタ対策)で、 対象が麦・大豆・てん菜・でん粉原料用ばれいしょの4品目。 もう1つの収入変動影響緩和対策(ナラシ対策)の対象は、 ゲタ対策の4品目に米を加えた5品目である。
 これまでの全農家を対象とし、 コメ・麦・大豆ごとに交付されてきた補助金とは大きく変わることとなる。
 日本の農業は、 急速な高齢化に見舞われ、 担い手の育成が喫緊の課題となっている。
 しかも新しい農業の担い手には、 生産だけでなく、 流通や消費まで見通した農業経営が求められている。
 さて、 1カ月前に紀の川市の 「めっけもん広場」 を訪問した。 すでに近隣はおろか、 和歌山市や泉南地方でもよく知られたファーマーズマーケットである。
 JA紀の里が経営しており、 登録生産者1500人、 一日当たり平均出荷者数は、 500人位だという。 客数は平日2000~2500人、 土日は3000~4000人もの人が押しかける。
 年間の売上額が24億円にも上る日本一のマーケットなのである。
 生産者は朝6時半から農産物を搬入し、 自分で価格を決めて、 ラベルを貼り陳列する。
 ユニークなのは、 レジとPOS(販売時点情報管理)システムがレジと連動しており、 レジで会計された自分の商品の販売状況について、 生産者が携帯電話で確認できることである。
 情報は30分ごとに更新され、 音声で 『現在の販売状況は大根3本、 白菜5個』 などと報告される。
 閉店の5時までは、 品物を切らさないために電話で出荷した品物の売れ行きを確認。 品物が足りなくなると予想した生産者は収穫し追加できる。
 この電話による確認システムは、 1人当たり、 一日平均2回利用しているというから、 いかに新鮮な農産物が店頭に並んでいるか想像できる。
 その日に売れ残った生鮮物は、 閉店後に生産者が引き取ることになっていて、 おのずから生産者自身が品質アップと販売戦略を考えるようになるという。
 食の安全にも力を入れており、 組合が指定した栽培方法に沿って施肥・農薬散布を行い、 作業日誌をつけて初めて登録生産者に認定されるという。
 私は、 農水委員会の質問の中で、 JA紀の里の取り組みを紹介した。
 消費者のニーズを把握し、 売れる商品づくりを追求している取り組みであり、 安心・安全でしかも新鮮な農産物を販売するという 「地産地消」 (地元で生産し、 地元で販売)のモデルケースだと思ったからである。
 農林漁業は自分で値をつけられないという声をよく聞くが、 ここでは 「いいものを作って、 いい値で買っていただく」 という話に、 生産者の張り合いと意気込みが感じられた。
 現在、 WTO(世界貿易機関)交渉が大詰めを迎え、 貿易自由化が進む中で、 日本農業は、 厳しい国際的環境にある。
 そうした厳しい環境に負けずに、 農業者がファーマーズマーケットのような新しい取り組みに挑戦されることを期待したい。


(2006西博義)
5_5.gif


5_5.gif

この記事と関連がありそうな過去の記事

powered by weblio