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2006年06月20日

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犬の放し飼いはいけない!? 中山間地の農作物鳥獣害対策に検討を
5_5.gif ■2006西博義

 今年の連休、 久し振りに家内と広川町の実家に泊まりに出かけた。
 選挙に出ることになって、 広川の家を離れて14年。 時々近所に住む親戚・知人に管理して頂いていたが、 ドアをあけてびっくり。
 入口の土間になにやら大きな堆積物が盛り上がり、 カビが生えている。 恐る恐る棒で触ってみると、 どうやら何かの糞らしい。
 家に入るとあちこち糞だらけで、 私の古い背広もねぐらにしたのか毛だらけになっている。
 誰もいないのを幸いに、 床下を通り、 風呂場の床板の破れ目から入り込んで優雅な生活を楽しんだらしい。
 翌日、 隣の人に話すと、 「それは間違いなくタヌキやなー。 うちも納屋のミカンを食われたので、 おりで捕まえて山奥に放ったけど、 片割れが残っているから」 と言われた。
 最近はどこの農山村でも、 野生鳥獣による被害が深刻で、 耕作放棄地が増加している原因の1つとも言われている。 収穫直前の農産物を毎年食い荒らされては、 作る意欲もなくなってしまう。
 全国の鳥獣による農作物被害は年間約200億円に上り、 その9割が、 イノシシ、 シカ、 サルによる被害である。
 先日の農水委員会で、 鳥獣被害の防止策について、 面白い議論が行われたので紹介したい。
 議論は、 「法律上、 犬は鎖でつながなければいけないのか」 という常識の盲点を突いた話からはじまった。
 国の法律で、 犬に関するものは、 「動物愛護管理法」 と 「狂犬病予防法」 であるが、 人に迷惑を及ぼさないよう努めること、 登録を受け鑑札をつけること、 予防注射を受けさせることは義務付けられているが、 意外にも放し飼いを禁止する法律はない。
 放し飼いについては、 法律ではなく、 自治体の条例で禁止されている。 和歌山県でも条例で 「飼い犬の所有者は、 当該飼い犬が人の生命等に害を加えないように、 これを綱、 鎖等でつないでおかなければならない」 と決められている。
 犬を放って鳥獣による被害を防止する作戦はすでに全国的に試みられており、 成果も上がっているようだ。
 特にサルを追い払うのに大きな効果があるらしい。 イノシシも寄ってこないということも聞いた。
 農水省も鳥獣被害対策の1つとして力を入れ始め、 研究に乗り出した。
 犬を使った全国の獣害対策の実施例を収集したり、 犬の種類や訓練法などの検討に入っている。
 もちろん、 これまでの網や柵を使った対策についても補助事業を実施し、 有効な活用方法なども含めて積極的に情報発信していくという。
 しかし、 簡易で有効な被害対策が早急に実施されないと、 中山間地の零細な農家の耕作意欲は限界にきているように思う。
 以前、 この欄で紹介した、 父が昭和10年、 高校時代に書いた 『我が家の農業経営』 にも、 家畜の欄に 「犬一匹、 番用、 繁殖用」 とある。 有害鳥獣対策にも利用され、 生まれて半年の子犬の代金は5円内外と売買さえされていたようだ。
 犬の利用は、 昔からの知恵である。 都市部と同様に放し飼いを一律に禁止するのではなく、 中山間地域に関しては、 放し飼いを認めるなど地域の特性を考えた対策が望まれる。


(2006西博義)
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