■2007谷本龍哉
テレビでも新聞でも、 あるいは普段の会話の中でも 「最近の子供達は」 という言い方を聞くことがよくある。 「最近の子供達は体力がない」 「最近の子供達は外で遊ばない」 「最近の子供達はテレビばかり見ている」 「最近の子供達はゲームばかりしている」 「最近の子供達は挨拶をしない」 等々である。 日本の古典の中にも 「最近の若い者は」 と、 若い世代に苦言を呈している文章が少なからずあるらしいので、 この傾向は現代に限ったことではなく、 人間社会に常にある現象なのかもしれない。
「最近の子供は挨拶ができないですね」 という人がいると、 私は常にその方に(ちょっと意地悪に思われるかもしれないが) 「確かにそうですね。 でも大人も結構、 挨拶できない人がいますよ」 ということにしている。 そしてさらに親しい間柄の人には 「自分の家庭の中で、 きちんと子供に挨拶してますか」 と訊く。 よく言われることだが、 「子供は大人を映す鏡」 であり、 子供たちが突然、 挨拶できなくなるのではなく、 大人(親)の影響が子供に徐々に伝わっていくのだろうと思っている。
私は現在、 内閣府で 「青少年問題対策」 の担当もしている。 少し古い資料だが次の調査結果を見て頂きたい。
○ 『子供の体験活動等に関する国際比較調査』 文部省生涯学習局(表参照)
両親から子供へのしつけという意味では、 日本の両親が先進国中どの項目をとっても最下位である。 この状況を変えない限り、 日本の青少年問題の解決は非常に難しいのではないだろうか。 『最近の子供達』 の問題は、 子供達だけの問題ではなく、 その親の問題であり、 さらにその親達を育てた祖父母の世代の問題でもある。 子供達の問題行動ばかりを指摘する前に、 すべての世代が先ず自分自身を振り返るところから始めなければ、 問題解決は遠いものになるだろう。 そして、 私自身はどうだろうかと自問自答し、 反省しきりの日々である。
(2007谷本龍哉)
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