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2008年03月25日

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もう静観することは許されない 捕鯨への攻撃に毅然と反論、文化発信を
5_5.gif ■2008鶴保庸介

 やりすぎだ。
 捕鯨関係者だけでなく、 ほとんどの国民が憤りを感じていたのではないだろうか。
 シーシェパードと呼ばれる自然保護団体が、 見るに堪えない攻撃をわが国調査捕鯨船に南氷洋で繰り返している光景が連日報道されている。
 すでに彼らの行動は新聞等で大きく報じられているので、 ご存知の方も多いと思うが、 新聞が取り上げるはるか以前からこの問題には自民党水産部会長、 ならびに捕鯨議員連盟という立場から深く関与してきた。
しかし捕鯨については誤解も多い。 そこで、 少し説明しておきたい。
 まず第一の誤解は、 捕鯨は国際的に認められていないのだから、 自粛すべきではないかという誤解。
 日本も入っている国際捕鯨委員会IWCでは賛成国も反対国も入り混じって毎年、 商業捕鯨の是非について検討されている。 そして、 商業捕鯨再開のためには参加国の三分の二の賛成が必要である。 そして、 現在の状況はというと、 昨年は初めて捕鯨賛成国が過半数を超えるという均衡状態になっているということは案外知らない人も多い。
第二に、 鯨はもう絶滅危惧種なのだから、 取るべきではないのではないかという誤解。
 そもそも捕鯨の可否については現在の鯨の生息数や何をどれだけ食べているかなどを調査しない限り議論はできない。 確実にわかっていることは鯨がとんでもない大食いであることと鯨の数は確実に増えてきているということである。 そのおかげで、 かなり控えめにいっても、 魚類の生息数に大きな影響を及ぼしていることは間違いなく、 近海のいわしなどの小魚が減ってきたことの一因は鯨の大食いにあるいということがわかってきている。
 そして、 第三に、 反捕鯨団体が言うように日本の調査捕鯨は商業捕鯨の隠れ蓑にしているという誤解。
 確かに、 調査捕鯨で調査が終わった肉は国内で流通して、 鯨専門店などに下ろされるが、 そもそも定置網などにかかる鯨なども、 近年頭数が増えているせいか多くなってきており、 これらは調査捕鯨の対象とならないので、 DNAの調査などの手続きを経た後、 沿岸の漁師などが普通の魚と同様にさばいている。
 お分かりいただけると思う。 日本の捕鯨はなんら違法などころか、 IWCという国際会議の場できちんと議論され、 承認されてきたものであり、 生態系に影響のないように最新の注意を払って行われてきたのである。
 なのに、 である。 薬剤の入ったビンを投げつけるわ、 艦船を体当たりさせるわ、 スクリューに網をかぶせるわ、 調査船に乗り込んでくるわ、 挙げ句にロンドンの大使館に不法侵入までしてくるのである (すべてここ数年に実際にあった事例)。
 これらの行為が正当化される許されない罪を日本は犯しているのであろうか。
もし鯨がかわいそうジャン、 なんていう向きがいたら、 カンガルーを食べている国にこれらの行為をしてもいいということになる。
牛を殺している現場を見た人はこれを残酷と思わない人はいないだろう。
 最後に日本の外務省に一言。 IWCに加盟している意味は、 捕鯨の実態を知ってもらうこと、 日本の捕鯨文化を理解してもらうには時間がかかっても、 国際社会への持続的な文化発信が必要であると考えたからである。 事実、 その効果は表れており、 先述したように、 一昨年には捕鯨賛成国が初めて過半数を超えた。
 しかし最近の状況を見ると、 捕鯨反対国が危機感を募らせた結果、 アフリカの海のない内陸国にIWC参加を呼びかけて参加料、 IWC代表団の渡航費を立て替えてまでも反対を維持させるというまるで、 「お金にものを言わせて」 という事態が続いている
 冒頭のシーシェパードがなぜこのような暴挙を繰り返すか、 というと、 この過激な行動がインターネットで報じられると自然保護団体から巨額の寄付金が集まるという構図になっているからであり、 彼らも 「金のため」 という構図に成り下がっているのである。
 このような事態をいつまでも放置するのか。 なんらの手立てもなく、 静観していることは国内の極端な右傾化を進めることになるおそれもある。 事実、 わが党内では 「IWCなどもう脱退して独自に捕鯨を続けていくべきだ」 という意見も多く出ている。 もう静観することは許されないところまできているといえよう。 アメリカバッファローを絶滅の危機に追い込んだ国に、 カンガルーを食べる国に言われたくない、 という国民感情の問題にしか過ぎないとするにはあまりにも問題を矮小化していると思う。


(2008鶴保庸介)
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