■2009谷本龍哉
4月5日午前11時半頃、 北朝鮮が予告通り、 ミサイルの発射実験を行いました。 発射されたのは改良型のテポドン2号と見られ、 三段式の構造のうち、 一段目は午前11時37分ごろ、 秋田県沖の日本海に着弾し、 二段目は11時43分ごろ、 日本を飛び越えて太平洋上に落下したとみられています。 この事件において、 まずは日本に被害がなかったことに安心する一方で、 国際秩序などお構いなしにやりたい放題に振る舞う独裁国家に対して表現しようのない強い憤りを感じています。
このミサイル実験の伏線は三年前にさかのぼります。 2006年7月5日に、 北朝鮮は7発のミサイル発射実験を行いました。 7発のうち6発は、 キテリョンから発射された射程の短いスカッド・ミサイルとノドン・ミサイルでしたが、 1発だけは今回と同じムスダンリから発射されたテポドン2号でした。 しかしこのテポドン2号はわずか42秒後に、 他の短距離ミサイル同様、 日本海に着弾しました。 発射の角度からは、 ハワイ沖を目標にしていたと見られており、 完全な失敗でした。 このミサイル実験に対して、 当時非常任理事国として安全保障理事会の一員だった日本が積極的に対応し、 国連の安全保障理事会は、 7月10日に全会一致で決議1695を採択しました。 内容的には、 中国とロシアの反対で 「制裁」 まで盛り込むことはできませんでしたが、 北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難するとともに、 弾道ミサイルに関わるすべての活動の停止を要求するものでした。
今回のミサイル発射実験に対して、 北朝鮮側は人工衛星の打ち上げだと主張しており、 日本のマスコミの中にも一部、 人工衛星であれば容認すべきといった報道がありましたが、 これは二つの意味で認めるわけにはいきません。 一つは、 人工衛星の打ち上げだとしても、 その本体はミサイルであり、 いっさいのミサイル関連の活動停止を要求した国連決議1965に違反していることは明白だという点です。 そしてもう一つは、 その国の了解もなしに、 他国の領土の上をミサイルで飛び越えて人工衛星を打ち上げるなど、 言語道断だからです。 日本政府は国際社会において、 毅然とした態度で今回の北朝鮮の暴挙を訴えていかなければいけないと思います。
(2009谷本龍哉)
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