■2009世耕弘成
12月4日で臨時国会が閉会の運びとなったが、 11年余の議員生活の中で初めて野党議員としての生活を経験している。 毎年11月、 12月は予算、 税制、 通常国会提出法案の準備で、 党の会議、 省庁の説明と、 分刻みのスケジュールで走り回っていたが、 野党となった今年はそのようなスケジュールは入ってこない。 生活は様変わりした。
今私は、 国会内では総務委員会筆頭理事、 消費者問題特別委員会筆頭理事を務めさせてもらっている。
総務委員会筆頭理事としては、 原口総務大臣を追及する立場で11月19日に先頭バッターとして質問に立った。 特に注目を集めている事業仕分けチームのメンバーについて、 国会法が定める兼職禁止規定に違反しているのではないかという点、 日本郵政に対して天下り人事を認めた件について、 原口氏が野党議員として舌鋒鋭く天下り問題の追及をおこなってきたことと矛盾するのではないかという点を厳しく問い質した。
野党筆頭理事としては委員会の日程について、 法案の審議が十分行えるだけの時間が確保できるよう与党側と交渉しなくてはならない。 今国会の総務委員会には公務員のボーナス引き下げを決める 「給与法関連3法」、 日本郵政の株式売却延期を決める 「郵政改革法」 がかかっており、 限られた時間の中で審議をしていかなくてはならない。 私は旧態依然とした野党的対応とならないよう、 与党側と建設的に日程協議を行ってきた。 与党側理事には 「法案成立を妨害するような行動はとらない。 しかし郵政法案は非常に国民の関心も高いので、 十分な審議日程を確保して欲しい。 そのためにはイレギュラーな日程での開催にも協力する」 と宣言していた。 しかし今国会における民主党の国会運営はあまりに稚拙で強引であった。 理事間で協議中であるにもかかわらず、 委員長が一方的に職権で委員会を立ててきたり、 審議をまったく行っていない状況なのに、 採決の日程を決めてきたりした。
私は議会人として生活する中で、 自民党の先輩からは、 強行採決の絶対前提条件として、 「その法案を当該国会中に可決しないと国家にとって重大な損失をもたらすものであること」 と 「十分に審議を尽くしたと世の中に説明できるだけの時間 (例えば衆議院の審議時間を超えたとか、 過去類似の法案を審議した際の審議時間を超えた等) が経過していること」 ということを教えてもらった。 民主党のすでに引退されたベテラン議員からは 「与党はぎりぎりまで野党に譲歩し続けること。 最後は数で押し切れるのだから」 ということと 「委員長は7割は野党の立場を優先して委員会を運営すること」 ということを教えてもらった。
民主党の国会運営はこのような良き慣習をまったく無視するものであった。 党首討論も逃げ、 予算委員会や決算委員会での総括質疑も拒否した。 結局、 鳩山首相の政治資金収支報告虚偽記載や母親からの9億円にのぼるといわれる贈与疑惑について、 追及されるのが嫌だから、 わざと国会を混乱させたのではないかと疑わざるをえない。
(2009世耕弘成)
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