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f_ss_nikai.jpg 二階 俊博
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2010年05月11日

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木材利用の促進法案 公共建築物だけでなく多様な利用を
5_5.gif ■2010西博義

 父と自宅近くの狭い山林にヒノキの苗を植えたのは、たしか私が中学生のときであったので、 もう植えてから45年ほどになる。

 「このヒノキ苗を植えても、 使えるのは博義の子か孫の時代やけど、 この木が大きく育つのを見るだけでも楽しみや」 とつぶやきながら、 父は植林についての知識を教えてくれたものだ。

 昨年、 地籍調査の立会いに帰ったときに、 調査員の方から 「さすが、 おやじさんの植えた植林。 いい場所に植えたからよく育ってるなー」 とほめられ、 我がことのようにうれしかった。

 しかし、 もう少し生長させないと伐採してもまだ柱には使えない。 やはり父の言う通り、 子の代、 孫の代にようやく使えるような木材となる。
  
 林業経営とはこのように息の長い経営が求められる。そして、 社会的な変化にも大きく左右される。

 田辺市中辺路に住み、 林業に従事しながら山について語る宇江敏勝さんは著書の中で次のように語っている。

 「昭和20年代には戦災からの復興のために、 30年代になると経済の高度成長による需要でもって広大な森林が濫伐された。労働力を供給したのも、 もちろん山村住民であった。 やがて伐るべき経済性のたかい木がなくなると、 都市の資本は外国産材の輸入に転じる。」

 木材を海外に大きく依存した結果、 海外での森林破壊、 環境破壊という新たな問題を生み出すこととなった。

 さらに、 日本の林業は安い外国産材に太刀打ちできず、 国産材の需要が低迷しているため、 間伐など手入れが行われないまま放置されている。 木材の海外への依存は、 海外の森林破壊だけでなく、 日本の森林もダメにしている。

 これまでの林業政策は、 作業道の整備や機械化によるコスト削減や、 緑の雇用など従事者の確保など、 主に生産面での取り組みが中心であった。 しかし、 生産面だけでなく、 利用面での取り組み、 つまり、 国産材の需要がなければ、 結局、 林業を取り巻く状況を打破できない。 利用をどう図るかが課題である。

 さて、 連休前から、 木材の利用を推進する2つの法案の審議が、 衆議院農林水産委員会ではじまった。

 政府からは、 公共建築物への木材利用を促進する法案が提出されている。 一方、 自民・公明両党から、 政府案への対案として、 木材の総合的な利用を推進する法案を提出した。  

 その内容は、 公共建築物への建築材料としての利用はいうに及ばず、 ガードレールのような工作物、 木製品、 紙・パルプ・木質ペレット、 さらには、 バイオマスの原材料など、 木材の多様な利用を進めようとするものである。

 この自民・公明案は、 もともと昨年の通常国会に提出すべくまとめたものであったが、 審議されなかった。
昨年4月28日の 『がんばってます』 にも、 議員立法の作成の過程を紹介している。

 当時、 農林水産部会長で、 法案作成に携わった私が、 法案の提出者として議論に望んでいる。

 現在、 与党と自民・公明党の間で修正協議が行われているが、 われわれ自民・公明案をかなり飲み込んだ修正になりつつある。

 これからも国産材の利用がより一層進むよう、 努力してまいりたい。


(2010西博義)
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