■2010西博義
9月30日、 公明党の国土交通部会が開かれ、 海外で行われている家賃補助制度を検討するとともに、 セーフティーネット住宅のあり方について議論した。
セーフティーネット住宅とは、 高齢者や障がい者、 母子世帯、 低所得者、 失業者、 DV被害者などが、 さまざまな理由で賃貸住宅を借りられない場合への救済策である。
制度としては、 現在、 ①公営住宅、 ②都市再生機構賃貸住宅、 ③特定優良賃貸住宅、 ④高齢者向け優良賃貸住宅などがある。
セーフティーネット住宅の中心は、 公営住宅であるが、 昨今の地方自治体の厳しい財政事情状況を反映して、 公営住宅数を増やすのが難しくなっている状況である。
ところで、 9月中旬に、 県内の事業者から、 「高齢者向けの優良賃貸住宅(以下、 高優賃住宅)」 に関する相談を受けた。
高優賃住宅の事業を行いたいが、 認定要件が厳しすぎて、 参入が難しいということであった。
高優賃住宅は、 高齢者が安心して生活できるように、 バリアフリー化され、 緊急時の対応サービスの利用ができる賃貸住宅である。
こうした住宅を民間の力を使って整備しようという仕組みで、 都道府県知事や市長の認定を受けると、 整備費用や家賃減額費用への補助など公的な支援を受けられる。
都道府県知事等の認定を受けるに当たっては、 事業者は、 賃貸住宅の管理経験など一定の要件を満たすことが必要となる。
国土交通省では、目安として、 『管理指針』 を示しているが、 その指針では、賃貸住宅の管理経験について100戸以上の管理としている。
和歌山県では、 この要件が500戸以上とされており、 要件が厳しくなっている。 住宅サービスは安定的であることが望まれることから、 高めに設定されたものと考えられる。
確かに、 経営が不安定な事業者の賃貸住宅では、 安心して住めない。 しかし一方で、 認定基準が厳しすぎると、 要件を満たす事業者が少なくなり、 供給が進まないという問題も出てくる。
また、 これでは、 大きな都市の事業者だけが事業を行うことができて、 小さな市町村の事業者は事業を行えないということになる。
そこで、 関係する行政機関に、 認定基準のあり方について検討していただくようお願いしている。
最近では、 派遣切りなどで突然、 解雇され、 社宅を退去させられ住まいを失ったり、 家賃の滞納者が強制的に閉め出される 「追い出し屋」 被害が発生している。 結果的には、 ネットカフェ難民が生み出された。
こうしたハウジングプア(住まいの貧困層)は、 社会問題になっており、 セーフティーネット住宅の強化が急がれる。
公明党は、 現在、 新しい社会保障ビジョンをとりまとめるべく作業しているが、 セーフティーネット住宅の充実・強化について積極的に取り組んでまいりたい。
(2010西博義)
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