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2011年11月01日

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TPP参加は反対 拙速な決定は不利益に
5_5.gif ■2011阪口直人

 臨時国会が開会し、 民主党内ではTPP参加の是非を巡る議論も白熱してきました。 当初は自由主義貿易を推進し日本の得意分野で勝負に出るのか、 農業の保護を優先するのかが論点と思われていましたが、 TPPが日本の未来に及ぼす影響は多岐にわたることが明らかになってきました。

 和歌山選出の国会議員として、 何としても地域の農業は守らなくてはと固く決意しています。 同時に、 成長するアジアの成長を取り込むため、 日本製品、 またインフラの海外展開などにおいて中国や韓国に負けないための自由貿易推進の必要性を強く感じています。 一方、 金融や保険、 郵政、 さらに食の安全などにおける大きな変化の可能性をシュミレーションした時、 TPPにおける米国の狙いは 「日本の制度を米国化」 することにあると、 強く危惧しています。 米国は日本の 「非関税障壁」 を撤廃させ、 日本のサービス市場の開放を迫ることで経済の改善、 雇用の増大を目指していると考えられます。

 米国による 「年次改革要望書」 の中で、 記憶に新しいのは 「郵政民営化」 でしょう。 米国からすれば120兆円に上る貿易保険市場をこじ開けるための戦略だった郵政民営化が、 日本に根付いていた郵政事業を大きく破壊し、 特に過疎地域に住む人々に大きな不利益を与える結果になったこと、 日々の政治活動でも実感しています。

 私が最も危惧するのは 「投資家と国家の紛争解決」 条項です。 これは日本の政策によって何らかの被害を被った米国企業が日本政府を訴えることができるとするものです。 訴訟の場は国際投資紛争解決センターなどの第三者機関であり、 審理は一切非公開、 判定は強制力を持ち、 不服の場合でも上訴不可、 判定基準は被告となった相手国の政策妥当性・必要性ではなく、 「外資が公正な競争を阻害されたか否か」 の一点だそうです。 (あおぞら銀行金融法人部門レポートより)

 また、 遺伝子組み換え作物の表示が十分ではなくなったり、 医薬品分野における安全基準が現状とは変わってしまう可能性も危惧されています。

 アジアの域内貿易は60%にまで進んでおり、 TPPは成長するアジア市場に乗り遅れないための米国の戦略でもあります。 日本人は世界一長寿であり、 日本は世界有数の治安の良さを誇る国でもあります。 常に成長を目指す米国とは違い、 日本にとっては国土の環境、 国民の安全・健康を守れる成熟した国家を目指すことも重要な視点だと思います。 米国が国益を追求するのは当然ですが、 私たちも日本の良さ、 そして国益を守ることを第一に考えなくては!

 このようにTPPは多くのデメリットが想定され、 それがメリットよりも大きいのかどうか、 まだ十分なシュミレーションがされていません。 従って、 「APECまで」 と自ら期限を区切り、 拙速に交渉参加を決定するのは日本にとって重大な不利益をもたらす可能性があると思います。

 日本は何を獲得し、 何を守るのか目標をはっきりと定め、 その目標に到達するため、 味方になり得る国とも連携し、 したたかに交渉する。 そんな明確な戦略を提示されていないと交渉に参加しても利益を得ることは困難と考えています。

 このような理由から、 現時点では私はTPPへの参加には極めて慎重な立場であり、 貿易のルール作りはWTOをベースに2国間の経済連携を進化させていくことを基軸に考えるべきだと思っています。


(2011阪口直人)
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