平和を考える機会に 鎮魂の祈りに包まれたヒロシマ


 8月6日午前8時15分。サイレンの音と共に、ヒロシマは鎮魂と平和の祈りに包まれた。

 66年前、広島市中心部でさく裂した原子爆弾により、27万5千人もの命が失われた。爆心地近くの平和記念公園では平和記念式典が、その周辺にオフィスを構える企業は慰霊式を行った。

 爆心地から300㍍に位置する私の職場でも慰霊式が行われた。学徒動員の生徒たちが多数亡くなったといい、遺族や級友らが参列し、深い祈りを捧げていた。

 日が暮れると原爆ドームや平和記念公園近くの元安川へ灯籠を流す催しがあった。ことしは東日本大震災の原発事故で核や平和への意識の高まりで参加者が増え、灯籠が売り切れた。主催者によると、灯籠が売り切れることは珍しいという。

 近くにいた高齢の夫婦は「みんな元気にしているか、私たちはなんとか頑張っている」と、家族連れは「原爆で亡くなった、ばあばが安らかに眠れるようにバイバイしようね」などと話し、灯籠を流していた。家族や友人を亡くした人びとの思いに触れられ、平和について考え直す機会となった。

 昭和20年7月9日、和歌山市も大空襲を経験している。私の祖母は被災者の一人だ。灯籠を流す人々を見て、祖母が語ってくれる戦時中や空襲の記憶を思い出した。戦後66年。じかに話を聞ける戦争の経験者は高齢となってきた。私たち若い世代は、 経験者の記憶を後生に伝えていかなければならない。

 明日(15日)は終戦記念日だ。お盆休みで帰省されている方も多いだろう。ぜひ、平和について話し合う機会にしてほしい。  (次田尚弘/広島)


2011年08月14日 12:35