2008年09月07日

2008 04.文化・くらし

「景観台無し」住民激怒 説明なくセーリングトレセン新艇庫建設

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トレセン指定を受け建設工事が始まった新艇庫(中央)。マンションからは夕日の眺望が妨げられる上 県などに説明を求めるマンション住民ら下

セーリング (ヨット) のナショナルトレーニングセンター指定を受け、 県が和歌山市の和歌山セーリングセンター(和歌山マリーナシティ内) で建設を始めた新艇庫について、 周辺のマンション住民たちが景観が損なわれるとして建設中止などを求めている。住民側は 「事前に説明がなかった」 として反発を強める中、 県は新艇庫建設の必要性を強調し理解を求めている。

新艇庫は、 国内トップ級の大会や国際大会開催で入庫するヨットなどが増大すると予想されるため計画された。 県によると、 ポルトヨーロッパの北側にあるセーリングセンター内の既存艇庫に隣接して建設。 既存艇庫よりひと回り大きく、 床面積460平方メートル、 高さは15・3メートル (既存艇庫11・2メートル)。 今夏から建設工事を始めた。
新艇庫の東側には高層のリゾートマンションが数棟建ち並び、 バルコニーからは海に沈む夕日の絶好の眺望が楽しめる。 住民らは8月下旬になって突然、 この景観を妨げる大きな骨組みが現れたことからびっくり。 このため、 4日夜にマリーナシティの 「わかやま館」 で説明会を開催し、 県やマンション管理運営会社などに説明を求めた。
県の説明によると、 新艇庫の建設計画について、 5月と6月の2回、 マリーナシティ内各施設の代表者らでつくる島内連絡会議で説明したという。 これに関連しマンション管理運営会社の関係者は 「出席した責任者に聞いたところ、 新艇庫の説明は会議で行われたようだが、 詳しくは聞いていなかったようだ。 こんなことになって大変申し訳ない」 と謝罪した。
島内連絡会議はイベントなどの打ち合わせを目的に月一回開催しているが、 住民代表は入っていない。 マンション住民からは 「事前に住民側への説明がないのはどういうことか。 きちっとした説明があるまで工事を中断してほしい」 「景観が台無しで、 これでは資産価値が減少する」 などの意見が出た。
説明会には県側から森岡祐策スポーツ課長らが出席。 これまでの経過を説明した上で 「当初計画より遅れており、 大会などのスケジュールもあり、 ぎりぎりの状態だった」。 また、 新艇庫について住民側に十分伝わらなかったことを謝罪した上で、 「全国、 海外から多くの艇が集まるため、 高さ15・3メートルは最低限必要。 現時点で艇庫の高さは下げられない」 と理解を求めた。
今後、 住民側は各マンションの代表で県側と交渉。 「外観に配慮した低層の建物で検討する」ことを求め、 話し合いたいとしている。 県側の誠意ある対応がない場合はトレセン指定撤回の意見書を上申する準備もあるという。住民代表の1人、 山崎久男さん (45) は 「マンション購入時に売り主 (旧松下興産)と景観、 眺望を妨げる高さの建物は建設しないという約束事もある。 県側との交渉では建設の一時中止をまず求めたい」としている。





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