2008年12月03日

2008 00.社会

金メダリスト井上康生さんが柔道人生語る

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柔道について熱く語る井上さん

2000年シドニーオリンピック柔道100キロ級の金メダリストで日本柔道界のエースとして活躍してきた井上康生さん(30)の講演会「柔道と私」が1日、和歌山市本町の複合商業施設フォルテワジマで開かれた。同施設の1周年を記念してのイベントで、ファンら約200人が来場。井上さんは、25年間の柔道生活を振り返り「柔道を通していろんな人に支えられてきたからこそ今の自分がいる。これからもいろいろな壁があるが、乗り越えていきたい」と聴衆に勇気を与えていた。

井上康生さんは金メダルを獲得した時、前年に急死した母の遺影を持って表彰台に立ったことでも有名。講演では遺影を持ち込んだことについて「本当は表彰台に物を持ち込んだらダメだと知らなかったが、母と同じ年代の外国の警備員さんが察してくれて、『私は見ないふりをするから』と言ってくれた。おかげで柔道着の下に忍ばせて持ち込むことができた」と裏話を披露。「実は英語自体は分かりませんでしたが、そんなふうに聞こえた」と付け加え会場を沸かせた。
母親が亡くなる直前、スランプだったことについても話し、母親の死が一つの分岐点だったとして「母が死んでいなかったら金メダルは取れなかったはず。母が僕に試練を与えてくれたからこそ、初心に帰って戦うことができた。いろいろな苦しみがあるからこそ今の自分がいる」と振り返った。
さらに「家族や友人などの支えがあったからこそ、一つひとつの壁を乗り越えることができた。これからも辛い壁がきっとあるが頑張っていきたい」と話し、今後は指導者として「肉体的にも、精神的にも、周りから尊敬されるような柔道家を育てていきたい」と柔道家としての将来の希望を語った。
井上さんは、ことし5月に引退を表明し、指導家として再スタート。全日本男子特別コーチにも就任し日本柔道界を支えている。





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