2010年01月27日

04.文化・くらし

冬芽の木下さん、第二歌集出版

短歌結社 「水甕」

『まんねんろう』 を手に木下さん

和歌山市出身で白浜町在住の木下のりみさん (57) がこのほど、 第二歌集 『まんねんろう』 を角川書店から出版した。 短歌結社 「水甕」 同人の木下さんは、 「短歌の世界へお導き下さった恩師木下美代子先生にこの新しい歌集をお見せ出来なかったのが残念でなりません」 「日常生活を見つめながら作品化した歌に、 どこか別の世界へ誘うような重層感があれば、 また、 ことばによって姿を現したものが心の在り処であれば」 と記している。


木下さんは歌を詠み始めて間もない平成3年に冬芽(とうが) 短歌会= 「水甕」 和歌山支社) に入り、 4年に 「水甕」 入社。 翌5年には新人賞である水甕奨励賞を受賞した。 11年に初の歌集 『たゆた』 を出版。 14年信藤洋子さんと永守恭子さん (現・冬芽代表) と共に同人誌 「ふらすこ」 を創刊するなど意欲的に活動し、 18年に水甕賞を受賞。 現在 「冬芽」 編集委員を務めている。

同書は平成11年から21年にかけて 「水甕」 「冬芽」 「現代短歌雁」 「ふらすこ」 に発表した作品を中心に構成。

歩くとは考えること君の背は笹舟のように吾をかえりみず

大根の取っ手をつかみ引くときの笑うしかない地球の重さ

読まねばならぬ本と読みたき本ありぬ読みたき本は歯をみがきつつ

など440首を収めている。 題名の 「まんねんろう」(ローズマリー) は、 「絡み合い伸び放題のまんねんろう質さず過ぎし年月のごと」 から取った。

木下さんはあとがきで、 認知症が進行していた姑とのやりとりに触れ、 「ことばを無くしてしまった人と、 ことばを選び続けている私。 ことばはしっかり捉まえていないと逃げていってしまう儚いものだと思うようになった。 (中略) 儚いことばにこだわり続けることには、 きっと意味がある、 ことばを信じて良いと強く思えた」 と記す。

完成した歌集を手に木下さんは、 「この10年のタイムカプセルみたいな感じです。 これからもコツコツ詠んでいき、 歌の完成度をもっと高めたい」 と話している。

【歌集まんねんろう】水甕叢書第八二九篇、 発行・平成22年1月6日、 著者・木下のりみ、 発行所・角川書店、179ページ、 定価・2571円 (税別)、 問い合わせは角川学芸出版 (03・5842・5364)。





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