2010年02月05日

00.社会

和歌山市の養殖アワビ、数が半減

アワビの養殖試験

和歌山市田野の水産振興事務所で養殖されているアワビ

アワビの加工品を新たな特産品にしようと、 和歌山市が平成18年に開始したアワビの養殖試験で、 大きさが2センチ未満だった稚貝が3年半が経過して7センチを超えるまでに成長した。 当初2000個あった稚貝は現在約1000個と半減し、 養殖の難しさに直面しているが、 1~2年後には干しアワビなどに加工していくという。

農林水産課によると、 20年度の市内の天然アワビの漁獲量は約10トンで、 ほとんどが加太産。 加太では国などの補助を受けて昭和61年から隔年、 「加太地区増養殖場造成改良工事」 を実施。 海に一つ600キロ~1トンある石を積み上げて寝床を作り、 稚貝を放って安定した漁獲量を確保している。 水揚げされた天然アワビは加工されずに、 県内や近畿各地に出荷される。

天然アワビは、 捕る時期や大きさに規制があり、 1年を通して捕れるわけではない。 養殖なら規制対象外で、 加工するために安定供給することが可能になる。

しかし、 養殖技術の確立は 「なかなか難しい」 (同課) という。 市は18年7月に県北部栽培センターから2000個のメガイアワビの稚貝 (平均殻長1・7センチ) を購入し、 養殖を開始。 翌19年7月には、 同3・65センチまで順調に成長したが、 数は1400個まで減少。 21年7月には7・13センチまで大きくなるも、 980個と当初から半減してしまった。 19年8月に2000個、 20年8月には2500個の稚貝を購入したが、 やはり翌年には数が減ってしまった。 同課は 「夏場に水温が上昇しすぎてしまい、 だめになるケースが多い。 海水をかけ流しにしているなど工夫しているが...思うようにはいかない」 と話す。

ただ、 一定の成果も。 7センチを超えたアワビと天然アワビのうま味成分を分析した結果、 数値に大差はなかったという。 同課は 「配合飼料ではなく、 アラメなど天然の海草をエサとして与えているためではないか」 と考えている。 水産振興事務所の職員は 「1、 2年後くらいに、 アワビが10センチ程度になれば加工できるようになると思います」 と話している。





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