2010年03月16日

00.社会

自らの足で一軒一軒、雑賀崎の郵便屋さん3月末で定年退職

集配営業課主任笹田正三さん

雨の日は郵便物を濡らさないようにビニール袋に入れながら配達

漁師町として古くから栄えた和歌山市雑賀崎地区。 平野部はほとんどなく、 港のすぐ近くは山となり、 急斜面に約1000件ほどの住宅が点在している。 急な坂道で、 かつ人が行き交うのもやっとという狭い道が平行して4本ある同地区の郵便配達は、 坂の下にバイクを止め、 そこから配達員が自らの足で坂道を駆け上って一軒一軒回るのが日課となっている。 配達業務に携わる人たちには、 ちょっとした 「難関」 とされている。

この雑賀崎地区を配達するのは、 郵便事業(株)和歌山南支店が担当。 集配営業課主任の笹田正三さん (60) は、 雑賀崎地区の配達を始め10年となり、 地域の人たちに愛されているが、 今月末に惜しまれながら定年退職を迎える。

笹田さんが郵便局に入局したのは26年前。 箕島、 和歌山中央郵便局を経て10年前南郵便局に着任。

配達員一筋で勤務してきた笹田さんにとっても、 雑賀崎の地は、 かつて経験したことのない手ごわい 土地だったという。 「4本ある坂道の家をすべて配り終わるのに約1時間半かかります。 春先から秋までは毎回、 Tシャツがぼとぼとになるほどの汗をかくので、 配達後は坂の下で必ず着替えをしてから会社に戻ります。 真夏にはそのシャツがしぼれるほどの汗の量です」 と苦笑い。

この10年でつらかったことはと尋ねると 「ほとんどありません。 釣りが大好きで、 海を見ながら配達できるなんて最高でしたから。 たまにひざ関節が痛い日もありましたが、 それは配達のせいではなくて年齢によるもの」 と明るい笑顔。 「住民の皆さんは顔を合わすと 『ご苦労さん』 の声を掛けてくれ、 本当に楽しく仕事をさせてもらいました」 と少し寂しそうに振り返った。

住民たちも 「あの郵便屋さん、 定年かい。 寂しなるよ」 と残念そうだ。

同南支店西村祐之支店長は 「笹田さんはやさしい人柄で、 新人や若い職員にも親切に指導してくれますので、 チームもよくまとまっている。 引き続いて留任も依頼したが、 第2の人生設計があるとのこと。 これまでの努力には頭が下がる思いでいっぱい」 と労をねぎらった。





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