2010年03月19日

00.社会

和歌浦の不思議景観スポット「大陸橋」撤去

大陸橋

和歌浦の不思議景観スポット、 和歌山市和歌浦中の 「大陸橋」 がこのほど撤去された。 奠供山と雲蓋山を結ぶ高さ6メートルのアーチ型橋で、 撤去は老朽化による危険防止が目的。 和歌浦中で生まれ育った和歌浦連合自治会の松井瑛雄副会長 (81) は、 「安全になり皆ほっとしていますが、 寂しいですね」。 やはり遊んだ思い出がある和歌浦中出身の木村英司さん (47) は、 「景観や歴史遺産を生かした観光まちづくりのため、 橋があった説明板が欲しい。 できれば新たな橋も」 と話している。

大陸橋は昭和8年ごろ、 県が観光目的で作った幅約2メートル、 全長12メートルのコンクリート橋。 実際に観光客が使ったかどうかは不明だが、 昭和50年ごろまで子どもたちがよく遊んでいた。 しかし次第に橋に至る道が荒れ、 老朽化したコンクリート片が道路に落ちるなどし住民は不安を感じていた。

そのため平成19年12月に、 橋に隣接する自治会が県に強度調査を依頼。 県は調査の結果、 補強は困難と判断。 自治会に撤去の方針を伝え、 ことし2月中旬から県海草振興局が撤去作業に取りかかっていた。

木村さんは東京で都市音環境計画研究所所長を務め、 約10年前から和歌ノ浦シンポジウムを和歌浦で開催。 「地元小学生や保護者と歩いた景観調査でも、 大陸橋は注目でした。 知る人ぞ知る和歌浦独自のスポットでした」 と惜しむ。

県都市政策課は 「将来的には分からないが、 現在のところ新しい橋を架ける予定はありません」 と話すが、 橋両端のコンクリート土台と、 それを支える青石の石垣はそのまま残されている。

同地域は国名勝指定を目指す県名勝・史跡 「和歌の浦」 の一部であり、 現在、 和歌山市も景観条例策定を計画している。 木村さんは 「和歌浦は、 歩いて回れるヒューマンスケールの観光地。 万葉の時代に島だった2つの山を結ぶ橋は魅力的な観光資源。 地元の気運が盛り上がれば、 新大陸橋建設もあるのでは。 将来のまちづくりの試金石と思う」 と話している。





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