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砲座の可能性が高いV字状石積み |
和歌山市雑賀崎の通称 「カゴバ」 「トンガの鼻」 にある雑賀崎台場が20日、 県指定文化財の記念物 (史跡) に指定された。 幕末期に紀州藩が異国船に対する海上防御のため築造した砲台跡で、 県文化遺産課は 「江戸時代後期の紀州藩の海防政策を知ることができる数少ない史跡として重要」 と話している。 台場の県指定文化財は初めて。 県の史跡はこれで93件になった。
嘉永6年 (1853) のペリー来航以降、 紀州藩は和歌山城に近い海岸部に30カ所余りの台場を設置している。 しかし仮設あるいは計画段階で終わっているものが多く、 また、 開発などで破壊され現存するものは少ない。
その1つである雑賀崎台場は、 現在も台場の形状や石垣、 土塁がよく残っており、 平成19年度の和歌山市教育委員会の発掘調査により、 規模や内容が判明した。
台場の大きさは南北約21メートル、 東西約12メートル。 結晶片岩の岩盤上部の凹凸を整地して平坦面を造成し、 高さ約50~180センチの石垣の上に、 高さ50~140センチの土塁を築いている。 上部には砲座の可能性のある高さ40~50センチのV字状石積み、 多角形の石垣、 三方に石垣を巡らせた方形壇などがあり、 指定面積は467平方メートルになる。
今回の県史跡指定に、 荒れ放題だった同台場跡と周辺の草刈りや里道整備などを行ってきた 「トンガの鼻自然クラブ」 (中口裕代表) は喜びの声を上げている。 同クラブは、 台場の価値に気付いた雑賀崎自治会有志らが平成14年に結成。 地道に活動を続けてきた。
事務局の松川由喜子さん (60) は、 「うれしいです。 現在あるものを記録として残してもらいたいと、 文化財指定は目標でした。 指定されれば保存していただけるし、 いろいろな方に価値を分かってもらえる。 ほっとしています。 皆さんのおかげです」 と話している。
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