2010年04月27日

00.社会

「御船歌」30年ぶりに復活へ、5月16日の和歌祭

朗々と響く歌声とほら貝、太鼓のリズムが披露された(和歌山大学で) - 「御船歌」30年ぶりに復活へ、5月16日の和歌祭

朗々と響く歌声とほら貝、太鼓のリズムが披露された(和歌山大学で)

紀州東照宮の例祭「和歌祭」の練り物の一つ「唐船(とうふね)」で歌われてきた「御船歌」がことし、約30年ぶりに復活する。昨年、同祭の映像を記録している県文化遺産課の蘇理剛志さん(33)が音源を発見。「歌は口伝。無形の文化遺産は継承者がいなければ絶えてしまう」と有志に呼び掛け「御船歌部」を発足させた。まだ完全ではないが5月16日の祭り当日には、太鼓とほら貝に合わせ、和歌浦の名所などを歌い込んだめでたい歌が「ヨーイヤサー」の力強い繰り返しと共に披露される。


音源を発見したのは「唐船」の現状調査をしていた昨年9月。練習を録音したらしく、御船歌を構成する「長唄」「端唄」「せり唄」「やれ節」の、「長唄」を除く3曲が入っていた。

その後、実際に歌っていた人や、聴いたという人の協力を受け、音楽が趣味の和歌山大学紀州経済史文化史研究所の村旭輝学芸員(31)と県立自然博物館の揖善継学芸員(30)が12月に御船歌部を作った。

現在、和歌山大学の学生が歌い手として3人、唐船の曳(ひ)き手として10人参加する予定だが、26日には大学でお披露目し、さらに参加を募った。吉村学芸員は「来年は社会人も含めたサークルとして発足させたい」と意気込んでいる。

歌は船をこぐ時のゆったりしたリズムが魅力で、歌詞には「一にゃ権現、二にゃ玉津島...」などの和歌浦の名所旧跡や名物、情景が歌い込まれている。蘇理さんは「祝儀歌です。昭和30年代には歌方が10人から20人いたから迫力があったでしょう。祭り当日は唐船だけでなく、ほかの芸もすごいので楽しんでいただきたい」と笑顔。

和歌祭に詳しい同大教育学部の米田頼司准教授は、「唐船はもともと、緞子(どんす)などを用いた非常に豪華な造りで、六十数人が参加していた花形でした。和歌祭は芸能としての趣向を凝らした平和の祭典ですから、唯一の歌の復活の意義は大きい」と話している。





この記事と関連がありそうな過去の記事

powered by weblio


00.社会 - 同カテゴリの記事






カテゴリー
社会
事件・事故
政治・経済
スポーツ
文化・くらし
紀の川・岩出・海南・紀美野

これまでの特集
月別アーカイブ
株式会社 和歌山新報社
cypress.gif