2010年05月22日

00.社会/04.文化・くらし

和歌の浦が国名勝へ、8月にも指定告示

和歌山市の 「和歌の浦」

国名勝に答申された「和歌の浦」の干潟(県教委提供)

県は21日、 和歌山市の 「和歌の浦」 と白浜町の 「円月島」 が、 同日開かれた文化庁文化審議会文化財分科会で、 国の記念物 (名勝) として答申されたと発表した。 指定告示は8月の予定で、 指定されれば県の国指定名勝は11件 (名勝・天然記念物を含む) となる。


「和歌の浦」 の範囲は、 県指定「名勝・史跡」では指定されなかった和歌の浦干潟、 片男波を含む約90万平方メートル。 「 『万葉集』 の歌枕として詠われた和歌の浦の良好な風致景観を今に伝えている」 「潮の干満がもたらす海面の移ろいや松樹に彩られた砂浜・岩崖などを背景として、 古代から近代にかけて長い時間の経過の下に加わった寺社の建造物群が点綴する海の名所及び霊地と呼ぶにふさわしい風致景観である。 観賞上の価値が高い」 と評価された。

具体的には、 三断橋と不老橋が 「橋梁」 (指定基準二) として、 聖武天皇が登ったとされる奠供山 (てんぐやま) と、 干潟や紀三井寺が望める観海閣が 「展望地点」 (指定基準十一) として、 和歌の浦干潟、 片男波、 妹背山、 鏡山、 玉津島神社、 塩竃神社、 妹背山海禅院多宝塔が 「海浜・砂嘴 (さし) ・島嶼 (とうしょ)」 (指定基準八) として指定された。 基準二、 八、 十一で同時に指定されている名勝の事例は日本初となる。

名勝として保護されることで、 観賞上の価値に悪影響を与える可能性のある現状変更および保存に影響を及ぼす行為は許可されなくなる。

県文化遺産課は周辺地域の保全と、破壊された景観を元に戻す 「修景」を念頭に保存管理計画を策定する予定で、 「将来的には紀州東照宮や和歌浦天満宮、 雑賀崎も国名勝に含めていきたい」 と話した。

和歌山大学教育学部の藤本清二郎教授(61)は、 「全体として指定されたことが素晴らしい。 戦前に国名勝に内定しながら実現しなかった、 その悲願が80年ぶりにかない喜びです」 と話した。

また 「円月島」 は、 「独特の海食洞門 (かいしょくどうもん) の島嶼で、 その芸術上・観賞上の価値は高い」 と評価された。

山口裕市県教育長は 「和歌山の次の発展の方向を見つけ出していく手がかりになるのではないか」 と語った。





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