2010年05月25日

00.社会

ふじと台に旬の魚お届け、移動販売の風神さん

笑顔で接客する風神さん - ふじと台に旬の魚お届け、移動販売の風神さん

笑顔で接客する風神さん

1 ♪魚を食べると頭が良くなる。和歌山市の和大学園前ふじと台に、朝から現れる軽トラック。「おさかな天国」の歌を流しながら鮮魚販売に訪れるのは、「魚てつ」(泉南郡岬町)に勤める和歌山市中島、風神(かざかみ)伸哉さん(33)。鮮度が良ければ、発泡スチロールに水を張り、エアポンプを入れて生きた魚も住民に届ける若きホープは、活きのいい笑顔で住民たちから魚屋さんとして親しまれている。


7カ月ほど前、仕事を探していた風神さんは、何か人の役に立つことがしたかったという。「小さいころ、近所に魚を売りにきたおっちゃんが、めっちゃ威勢が良くて元気をもらったことを思い出して」。それが魚屋を志したきっかけだった。10年来の知り合いである同店の店長に「魚を売って回るから。なんとか雇ってほしい」と頼み込んだ。従業員は十分足りていたが、同店にとって移動販売は初めての試みで、風神さんの熱意に押された店長はしぶしぶ承諾。

見よう見まねで移動販売を始めた風神さんは当初、ふじと台で出会う人すべてに声を掛けたという。「『魚どうですか』って地声で呼び掛けました。その時に、結構たくさんの人に知り合えたかな」と振り返る。始めてから1カ月ほどして、移動販売が来たことを知らせるため歌を流すようになり、それを聞きつけて魚が欲しいときに住民が家から出て来るようになった。

毎朝、深日の漁港と中央卸売市場で20種類ほどの魚を仕入れ、トロ箱に氷を張って並べる。今の季節は、タイやアジ、カマスなどが旬。同店で培ったテクニックで、うろこやはらわたを取り除く。「通る道も初めは探り探りだったけど、『最近来てくれない』という声もあったし、今は決まったルートを通ってますよ」とゆっくりと軽トラを走らせる。幼い子どもを連れた女性やお年寄りなどが、引き寄せられるように魚を買い求めに訪れる。笑顔を絶やさず、柔らかい物腰の風神さんの人柄を信頼しているよう。「ふじと台の奥さんは若い人が多いので、いろいろな魚のおいしく食べられる調理法は伝授します」と言い、「人との触れ合いが楽しい仕事ですよ」と明るく笑う。同市中から買いに訪れる主婦(35)は「魚がすごく新鮮で、ほかのお店で買わなくなりました。風神さんも話しやすいです」とにっこり。ふじと台のほか、市内の木ノ本や西ノ庄、貴志などに回ることもあるという。お決まりの歌が流れれば、風神さんの軽トラが訪れた合図だ。





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