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受賞作 「草原」 と髙野さん |
和歌山市中之島の創作刺しゅう作家髙野澄子さん(81)が、スペインで開かれた「スペイン・バルセロナ国際サロン2010」で特別賞を受賞した。受賞作「草原」は14年前の県美術家協会展発表作だが、出品を依頼され昨年12月にスペインに送付。このほどメダルと賞状とともに髙野さんの手元に返ってきた。
「草原」は横124センチ×縦140センチのタペストリー。琵琶湖湖畔をドライブした時の光景に感動し、一針一針1年がかりで作品化した。錆青磁色の麻布に、刺し方は丸いフレンチナッツと基本のストレートの2種類だけ。色も淡群青色・桔梗色・松葉色などのブルー系5色と、山吹色・菜種色などの黄色系5色のみ。
しかし色彩のグラデーションと、糸を刺す角度や糸の向き、大きさや緩さ、密度の変化だけで、花が咲き乱れる草原の遠近感と立体感、動き、太陽のきらめきなどを表現。「形のない雄大な風景だったので心象作品になりました。見る方が、湖の広がりや輝きなどを自由に感じてくださったら」と話す。
この4年で、海外などへ出品した作品11点すべてが受賞している髙野さんだが、以前先輩に「工芸はなかなか評価されないけど、コツコツコツコツしなさい。60歳で芽が出たら本物」と言われ頑張ってきたという。「皆さんに声を掛けていただいたり、ある画家さんに『あなたのは工芸ではなく芸術』と言っていただいたり、本当に幸せです」と喜びをかみしめている。
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