2010年06月17日

04.文化・くらし

井畑政子さん、 第二歌集 『紅芙蓉』 出版

和歌山市広瀬中ノ丁の井畑政子さん(87)がこのほど、 第二歌集 『紅芙蓉』 を短歌研究社から出版した。 「一つ穂」 「空無限」 「寒の満月」 「運命さ だ めのままに」 「春の扉」 の5つの章に約560首を収録。 井畑さんは、 「故木下美代子先生から受けました短歌の理念に基づき、 生の証を立てるために心を尽くして作歌を続けてきました」 と記し、 「家族の理解と皆さまの支えのおかげです」 とにこやかに話している。

井畑政子さん
「感謝です」 と井畑さん

井畑さんは大正12年和歌山市生まれ。 女学校で木下美代子さんに学び、 昭和38年に再会。 翌39年に短歌結社 「水甕」 に入社し、 以来46年間、 歌を愛し続け、 生活を詠んできた。 平成19年まで 「水甕」 委員を務めていたが、 現在は 「水甕」 同人、 その和歌山支社 「冬芽」 同人、 日本歌人クラブ会員、 県歌人クラブ会員、 和歌山文化協会短歌選者として活躍している。
タイトルの 「紅芙蓉」 は、 同書の序歌とした次の歌から。

紅芙蓉あした開きて夕べ凋しぼむ はかなき花も花はともしび

「冬芽」 の永守恭子代表は、 「一日花であることのはかなさと、 限りあるゆえに一層かがやく紅芙蓉。 花の命の現実を受け止めながらも、 ともしびとして讃える歌には著者の人生観が籠められている」 と同書 「跋」 で。 また、

ソックスの毛玉とりつつ指先 の動くこの夜今生きてゐる

空駆くるロバになりたしシャ ガールの絵をふと思う桃畑に ゐて

などの歌を挙げ、 「地に足をつけて真摯 (しんし) に歩んでこられた著者だが、 時には日常からの飛翔を夢見る。 その想像の言葉も魅力的である」 と言葉を寄せている。

井畑さんは平成5年に第一歌集 『米屋春秋』 を出版したが、 その後、 米穀商を営んでいた夫と幼い孫の闘病と死を体験。 同書は病む夫との日常を詠う 「梅林巡遊」 から始まり、 最後の 「曾孫抱く」 まで、 優しさ温かさに満ちている。

「己の魂を磨くことと、 肉親をはじめあらゆる命あるものに対して愛情と鎮魂の心をもって生きることを指針としてきました」 と井畑さん。 「私は幸せです」 「優しさの中にある厳しさも心に留め、 揺れている世に流されることなく晩年を生きてゆきたいと思っています。 歌を愛する多くの歌友に支えられながら......」 とつづっている。

歌集 『紅芙蓉』 水甕叢書第830篇、 発行・平成22年5月21日、 著者・井畑政子、 発行所・短歌研究社、 206ページ 問い合わせは井畑さん (TEL073・436・0637)まで。





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