2010年08月08日

04.文化・くらし

和歌山弁俳句・川柳大会、入賞句の選評紹介

準新報賞(俳句)いつの日なおしゃべり消えたスズメの巣
東海南中、山田道
【選評】いつやったやろかなー、家のどっかでスズメの ピチャクチャゆうてる声聞こえたのに 消えてしもて...。子スズメが大きなって どこぞの竹やぶにでも飛んでいてしもたんやろか。今どきの中学生は忙し。部活やの塾やので家に居てること少ない。それでもやっぱし、身近に鳴いてたスズメらのことが折りに触れ、そこはかとなしに、思い出されてくる。(髙瀨)

奨 励 賞(俳句)ほな行こら光を浴びて空の下
粉河高、野中美里

【選評】高校生代表は、粉河高三年の野中さんです。「光を浴びて」いる私はまぎれもなく今世界の中心にいます。「空の下」には無数の人々がいますが、この瞬間私は確実に前進していることを実感している人間のうちの一人なのです。
(三浦) ◇
夏休みケムシに食われ木にかぶれ
中貴志小、山本有輝

【選評】「わんぱく小僧」はもう死語と思っておりましたが、まだ生きていたのですね。「ケムシ」にかまれても、「木にかぶれ」ても、どっこい男の子はたくましい。「男はタフでなければ生きてはいけない。優しくなければ生きている値打ちがない」。(三浦)

はるはよこいゆきのふとんはもうとけた
西貴志小、小林優
【選評】「ゆきのふとん」。この語に尽きます。すべて平仮名書きで、より一層ロマンティックさをかきたてます。四季の巡りがはっきりとあって、日本の自然は豊かです。うららかな春の日、ぼんやり過ごすのもまた一興です。(三浦)

奨 励 賞(川柳)
「はよ行こら」二歳の孫も和歌山弁
紀の川市、矢田凱夫
【選評】孫かわいさに眼を細めるおじいちゃん。血のつながりは何よりも濃いきずなです。アメリカ人の孫は英語を話し、和歌山人の孫は当然和歌山弁を話します。肉親への愛が郷土愛と相まって、何と美しい情緒でしょう。(三浦)

母親になろた料理でおもてなし
和歌山市、堀田知沙

【選評】母の味は家の味。かどうかは知らんけど、母親が娘に教せた料理が、代々その家に伝わっていくんもうれしことです。結婚して家から離れたとしも、個性を持った おかはんの味がそのまんま ほかに引き継がれたら いっその幸せやないかい。(髙瀨)

かえらしな最近ひろたこの仔猫
和歌山市、福永あゆみ
【選評】帰り道で たまたま仔猫を拾ろた。たまたまやけど たま駅長やない。家に連れて帰ったけど 誰も反対するもん居てへん。飼おてるうちに、愛情もわいてくる。看護学生の身ィでは、生き物に持つ感情は、やさしさが一番でしょう。(髙瀨)

片男波波の声さえきこえやん
和歌浦小、北浦未悠
【選評】「片男波」という名前なのに、「波の声」は聞こえない。まるでクイズですが、語源を知れば納得です。「潟を無み」=「干潟を平らにする」という意味です。「波」は当て字なのです。知ることはすなわち理解することです。
(三浦)





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