2010年08月30日

00.社会

在宅治療の重要性、がんセンター名誉総長語る

垣添忠生さん

妻との闘病生活について語る垣添さん

国立がんセンター名誉総長、日本対がん協会会長、垣添忠生さん(69)が28日、和歌山市手平のビッグ愛で行われたがんサポート講演会(NPO法人いきいき和歌山がんサポート主催)で「妻を看取る日」と題し講演した。在宅治療で妻(享年78歳)の最期を見守った垣添さんの生の声に、約100人が聴き入った。

垣添さんは、平成18年ごろに、もともと体の弱かった妻に肺がんが見つかったことを告白。ひどい口内炎など副作用がある治療を繰り返しながらも、19年末に多発性転移していることが分かり、「もうだめだと直感し、『家で死にたい』という妻の希望を叶えようと思った」と在宅治療に切り替えた経緯に触れた。

垣添さんは、医者、看護師、介護士の一人3役をこなし、死期迫る妻に食べたいものを食べさせるなど、精一杯付き添った日々を振り返った。そして、意識を失っていた妻が、突然目を開けて垣添さんの手を握り息を引き取った場面を思い出し「非常に辛かったが、妻は満足して亡くなったと思う」と目をうるませた。

人生の伴りょを亡くしたことで、食欲がなくなり体重が減少。知人のアドバイスで妻の写真を飾ったり、毎日運動をするなど「絶えず忙しくしていれば、なんとか前向きに生きていけるようになった」と語気を強めた。

また、毎年30万人強ががんで亡くなっている中、「医療体制が不十分なのだから、在宅治療について必然的に考えなければいけない。医療関係や行政などがネットワークをつくり、要望に応えてもらえるよう声を上げることが大切」と呼び掛けた。

同団体は、ことし1月に発足し、がん経験者や医療従事者、一般市民など約60人の会員が所属。8月上旬にNPO法人の認定を受けた。





この記事と関連がありそうな過去の記事

powered by weblio


00.社会 - 同カテゴリの記事






カテゴリー
社会
事件・事故
政治・経済
スポーツ
文化・くらし
紀の川・岩出・海南・紀美野

これまでの特集
月別アーカイブ
株式会社 和歌山新報社
cypress.gif