2010年09月07日

00.社会

県内2人目の板画の華厳賞、和歌山市の尾﨑さんが受賞

版画家・尾﨑齋晃 (よしあき=本名・好昭) さん

受賞した尾﨑さんと木版画 「愁思」

和歌山市六十谷の版画家・尾﨑齋晃 (よしあき=本名・好昭) さん (75) がこのほど、 東京で開かれた日本板画院主催 「第60回板院展」 で、 全国で20人目、 県内では2人目となる 「華厳賞」 を受賞した。 受賞作品は 「愁思」。 8日から13日まで同市九番丁のギャラリーけまりで開かれる 「日本板画院和歌山支部展」 で、 支部会員19人の作品60点と共に展示される。

日本板画院は、 世界的な版画家・棟方志功が中心となり、 版表現の可能性を追求しようと梅原龍三郎らの支援を受けて昭和16年に創設。 戦争で休止の後、 同27年に再開し第1回展を開いた。

「華厳賞」 は、 同人 (一般、 院友の上) を対象に棟方が第5回展で創設した賞。 出品作品が飛び抜けて優れ、 かつ同院への貢献度が高い人に贈られる。 今回は同人160人の中から選ばれ、 和歌山では坂田泰一さん (同市) に次ぐ2人目になった。

木版画歴33年の尾﨑さんは、 「古い日本の建物が崩れていくのは惜しい。 何とか作品に残そう」 と彫り続けており、 「愁思」 もそうした作品の一つ。 上下を大胆に黒で挟み、 わら屋根の一部や大八車の車輪を印象的に描いた。

近年彩色版画が多いが、 尾﨑さんは 「頑固に白黒版画を追求している」 といい、 「版画は白黒に始まって白黒に終わる。 そして版画は捨ててなる絵。 いらんとこは彫らない。 感じたところを、 刀勢が乱れないよう一気呵成 (かせい) に彫る。 黒が7割でもいいと思っています」 と話す。

市の職員として成人学校をつくり、 「お世話する係がいつの間にか会に入ってしまった」 という尾﨑さんは現在、 日本板画院同人、 評議員、 同和歌山支部長を務め、 「日本古来の木版画がもっと全国に普及発展するよう考えていきたい」 と語る。 そして自身の創作活動については、 「木版画は俳句に例えられます。 僕は山頭火のような自由律の句でいきたいですね」 と笑顔で話している。





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