2010年09月24日

00.社会

「幸せは気付くもの」無口な画家、河村さんが講演

「たけ」 こと河村武明さん

スクリーンを使って講演する河村さん

持ち前の明るさで重い障害を乗り越え、 画家として活躍している 「たけ」 こと河村武明さん(43)=京都市=が22日、和歌山市砂山南の県立和歌山ろう学校(池田香弥校長)で児童生徒40人を前に講演した。 話すことができない河村さんは、スクリーンに自分の言葉を投影しながら講演し、何でもない日常こそが本当にありがたいものだと強調。 「幸せとは望むものではなく、気付くもの」 と子どもたちに語り掛けた。

河村さんは平成13年10月、 突然、 脳梗塞で倒れ、 失語症、 言語障害、 聴覚障害、 右手障害という重い後遺症を残した。 一時は 「もう死んだ方がましだ」 と深い絶望に陥ったが、 ふとしたきっかけで筆をとったところ、 残された左手で絵や詩が描けることに感動。 自作のポストカードを路上で販売したことがマスコミの注目を集め、 その生き方に多くの人が共鳴した。

「無口な講演」 は同15年ごろからスタート。 これまで小中学校を中心に約150カ所回ったが、 ろう学校は初めてという。

河村さんは 「助かったことを後悔した」 と辛かった当時を振り返り、 それでも 「苦しい時こそ感謝せよ」 という言葉を思い出しては、 感謝を忘れず、 時には無理矢理にでも 「ありがとう」 と思い続けて毎日を過ごしたと話した。 すると 「左手で絵が描ける、 歩いてどこにでも行ける。 これで充分」 と気持ちが前向きになり、 入院から半年でストリートでの活動に飛び出すことができたという。 現在、 全国での個展、 企業広告、 雑誌の連載など、 活動は 「日本一無口な絵売り」 の枠を超えて広がり続けている。

河村さんは、 良いことも悪いことも 「必ずブーメランのように返ってくる」 と話し、「ありがとうをたくさん言っている人には、 ありがとうと言いたくなるようなことが次から次へと起きる」 と、 言葉の持つ力の大きさを強調した。 障害についても、 「ハンデにありがとうと感謝しよう。 するとハンデが味方になってくれる。 見方を変えると、 すべてが味方になる」 と話し、 「幸せ」 は自分の心にあると訴えた。





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