2010年09月27日

05.紀の川・岩出・海南・紀美野

小野田寛郎さんが母校で講演

人のきずなの大切さを語る小野田さん - 小野田寛郎さんが母校で講演

人のきずなの大切さを語る小野田さん

戦後約30年間、フィリピンのルバング島で終戦を知らされぬまま、最後の一人になっても戦い続けた海南市出身の元陸軍少尉、小野田寛郎さん(88)がこのほど、母校である同市鳥居の内海小学校で講演した。小野田自然塾主催。講演会には6年生、保護者、地域から約140人が参加。小野田さんは「人は一人では生きていけない」と語り掛けた。


講演のテーマは「人は一人では生きられない~子共たちの逞しい成長を願って~」。自身の経験を生かし、青少年育成を目的に全国各地で講演会を開いている。小野田さんは大正11年3月に現海南市の亀川村で誕生。昭和19年9月に陸軍中野中学校へ入校。12月、フィリピンのルバング島に着任し、昭和49年3月12日、帰国するまで終戦を信じなかった。

小野田さんは島の衣食住について語った。食べ物は野生牛の肉を乾燥させて食料とし、山の水を飲料とした。衣服はやがてほつれ、直すために針を作ろうとしたが大変だったといい、人の助けなしには生きられないことを痛感した。「自然を味方につけて生きてきたと思っていたが、一人では生きてはいけない」と悟ったという。

小野田さんは子どもたちに「もし今、町から人が一人もいなくなったらどうやって生活する? 少しの間なら過ごせるが、長い時間一人では生きられないはず」とし、多くの人の手によって自分たちが生かされていると語り掛けた。小野田さんは「だからこそ私たちは集団で生きている。集団の強さ、弱さを知っている。人を助けるだけの強さを持って、きずなを大切にしてほしい」と強く訴えた。6年生の山野友郁君(11)は「山の中の生活はびっくりした。みんなで協力して生きるって大切なんだなと思った」と話していた。





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