2010年10月21日

00.社会

恩師とともにジャズマラソンに

和歌浦ベイマラソンウィズジャズ

一緒に練習する井邊さん左と大河原さん

あのころのように風をきって。約30年前に両眼を失明した井邊光治さん(55)=和歌山市井辺=が、24日に行われる和歌浦ベイマラソンウィズジャズのハーフマラソンにかつての恩師とともに挑戦する。伴走するのは高校時代の陸上部の顧問、大河原克則さん(67)。心強いサポートを得て井邊さんはハーフの自己ベスト記録、1時間45分更新を目指す。

井邊さんは中学・高校時代に陸上部に所属。卒業後、22歳の時に交通事故で光を失った。

3年ほど前、盲学校で伴走者の講習会があり、井邊さんは30年ぶりに走ったところ「走り終わったら清々しくてね。もう一回運動してみようかなと思って」。自宅近くの空き地で、支柱のようなものにひもを付けて、ぐるぐると周りながら練習した。

その後「せっかくだから目標がほしい」、と伴走者をつけてマラソンのイベントへ参加するように。さらに井邊さんが「復活」したという話を耳にした大河原さんが、「ハーフマラソンに出るんやったら、俺が伴走するから」と申し出た。

陸上部のころの勘を取り戻し、走る力をつけた井邊さんは、沖縄や宮崎で開かれた視覚障害者のみが参加する大会で1位を獲得。そしてこの春、ついに井邊さんと大河原さんの師弟コンビが誕生。視覚障害者の伴走は初めてだった大河原さんは、「少しの段差やマンホールなどは、 視覚障害者にとっては危険」と苦悩しながらも、定期的に練習を重ねた。

ジャズマラソンには高校時代の後輩と共にハーフマラソンに挑む。「障害を負っても井邊はすごく前向き。その姿に、周りの人も感化されて走り始めた人もいる」と大河原さん。井邊さんは「やっぱり、走るのが好きやったんやなと思う。視覚障害者の伴走は、実際やってみると難しいはず。周りの環境に恵まれてます」と感謝の気持ちを表した。





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