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イノシシ猟に出る猟師 |
11月に入り、 県内はイノシシなどの本格的な狩猟シーズンに入った。 近年、 イノシシによる農作物被害は減らない一方で、 猟師は年々減少しているという。 紀の川市のある猟師は 「今後、 組織を維持できるか心配だ」 とため息交じりに話す。 猟師減少の要因は、 高齢化や娯楽多様化による若者離れのほかに、 猟銃所持に関する法改正も関係しているという。 県は 「現場をよく知っている猟師は有害獣捕獲の受け皿であり、 減少は問題」 と話している。
減らない農作物被害
昔は 「イノシシ狩猟」 といえば趣味の側面が強かった。 しかし近年では、 有害獣駆除の担い手として大きな役割を持つ。 県が発表した県内の野生鳥獣による農作物被害金額は、 昨年度2億7850円。 その中でも、 イノシシによる被害は一番多い1億3188万 (全体の47%) に上る。
紀の川と岩出の2市を合わせた那賀振興局管内の有害鳥獣としてのイノシシ捕獲頭数は、 ことし4月から9月までで243頭、 昨年の81頭から約3倍に膨れ上がった。 イノシシについて詳しい県畜産試験場=すさみ町=の職員によると、 イノシシ捕獲が増えた背景には 「全国的に山里から住みやすくなった人里近くにまで生息範囲が広がっている。 イノシシは毎年、 冬の繁殖期に4、 5頭を産み、 2、 3頭が生き残るとされている。 捕獲しないとこれから増える一方」 と話す。
銃刀法改正で猟師減少危惧(きぐ) 猟師が減っている一つの要因に、 平成19年に長崎県佐世保市で発生した散弾銃乱発事件を受け規正が強化された同21年1月の銃刀法改正がある。 同改正では、 3年ごとの猟銃所持免許更新時に、 これまで義務付けられていなかった射撃技能講習が加えられた。 一定以上の射的点数 (25発中2、 3発) をクリアしないと更新時に必要な 「講習修了証」 が受けられない仕組みだ。 猟師の高齢化で、 修了できない人や、 更新を受けることすらしない人が出ると予想されている。 同法改正前の免許取得者には、 1回目更新時の射的講習が免除されるため、 平成24年以降から猟師の減少が急激に進むのではないかと推測される。
しかし、 現在でも猟師の減少はあらわだ。 岩出署生活安全課によると、 ことし管内新規免許取得者が3人の一方で、 辞める人が23人もいたという。 同課は 「管内猟師は現在約250人。 その多くは60歳前後かそれ以上と高齢化しており、 4年後には100人ほどになる可能性もある」 とする一方で 「近年猟銃を使った事件が多発したため、 法改正は仕方のないこと。 モラルの向上を啓発していきたい」 と話している。
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05.紀の川・岩出・海南・紀美野 - 同カテゴリの記事
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