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豊富な絵画・写真資料が載った著書『和歌祭』と米田准教授左、髙市社長 |
和歌山大学教育学部の米田頼司准教授(60)がこのほど、紀州東照宮の大祭 「和歌祭」 の最新研究 『和歌祭 風流(ふりゅう)の祭典の社会誌』 を帯伊書店から出版した。同祭は広く知られながら、その歴史と全容はこれまで明らかにされていなかった。米田准教授は、 「日本三大祭りと言われたのは決して大げさではない。研究者だけでなく一般の方々にもお読みいただき、郷土の誇るべき文化の振興に少しでも寄与できれば喜びです」 と話している。
同書は全521ページ。米田准教授が和歌祭を研究するきっかけになったニューヨークパブリックライブラリ蔵の絵巻物をはじめ、絵画・図版211点、写真103点、年表、関連資料、文献を網羅。同祭の誕生から現在までの全体像とその魅力を論じている。
米田准教授は、 「藩の官祭だが民衆が主役の芸能の祭典でした。明治維新で途絶した後も、和歌村の出島の人民が苦労して続けた」とし、尚武(武勇)の祭典ではなく平和の祭典だったこと、尾張など他の東照宮祭礼の原点であり、現在まで続く唯一の東照宮祭礼であること、城下町の祭典なのに和歌の浦で行われた異例の祭礼だったことなどを詳述している。
また帯伊書店(和歌山市元寺町)は江戸時代から続く和歌山を代表する出版元。7代髙市志友は 『紀伊国名所図会』 を企画・編著・出版しただけでなく、同祭の餅搗(もちつき)踊を再興し、衣裳も奉納するなど同祭とはゆかりが深い。
発行者となる14代髙市健次社長(58)は、「米田先生の労作を出版できうれしい。これを私の代の出版第一弾とし、郷土に関する本や文化的な本をこれからも出していきたい」と話した。
『和歌祭関連資料―明治~戦前昭和期新聞記事―』 (米田准教授編集・発行)付きで定価5250円。同市や海南市、紀の川市、岩出市の主要書店で取り扱っている。限定500部。 問い合わせは帯伊書店(TEL073・422・0441)。
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