2010年11月30日

00.社会

余命宣告の高木さん、1日から折り紙個展

最新作「スキー」を手に、「できた作品見たらニコニコとなってくる」と話す髙木さん - 余命宣告の高木さん、1日から折り紙個展

最新作「スキー」を手に、「できた作品見たらニコニコとなってくる」と話す髙木さん

折り紙歴60年の髙木陽行さん(76)=和歌山市三葛=が1日から、市内のギャラリーで折紙個展を開く。サブタイトルは「癌を道連れにうたを折る」。肝臓がんと肺がんを再発し、昨年12月に余命1年を宣告された髙木さんは、その日「よっしゃ、それならわしゃーこれから個展やるばい」と制作を開始。同展ではこの1年間に作った三十数点を含む計60点を展示する。髙木さんは「優しさを広げる折り紙のすてきさ、楽しさをぜひ知ってもらいたい」と笑顔で話している。


展示作品は、情緒溢れる童謡シリーズと風景シリーズ。「とんぼのめがね」「富士山」などの童謡や叙情歌、「公園の親子」「郡上踊り」などの風景を情景が浮かぶような額作品に仕上げた。すべて最初にがんの手術をした平成3年以降の作品になる。

髙木さんは宣告を受けた日、鏡に向かって誓いを立てたという。「この病のために○○ができん、そんなことは一切言わんぞ」と。そして「野菊」を作り始め、後日誓った時の自画像も作った。その作品も展示する。

「でも、歯を食いしばってというのじゃない」と穏やかに。抗がん剤の副作用で右手の指がうまく曲がらないが、テレホンカードやスポンジなどで補助具を作った。「痛いし、つらいのはいつもだけどしゃあない。そういう時は工夫するチャンス。苦を楽にしたらいい。自分の知恵で克服するとうれしいし楽しいですよ」。また今回の個展に際し、大学卒業後一回も会っていない人が応援してくれた。「こちらが気付かん協力者が多いと気付いた。ありがたい」と話す。

小学校教員志望だったために折り紙を始め、退職後も公民館や図書館などで大勢を指導してきたが、忘れられない経験がある。担任したクラスで、心配していたいじめが起こらなかったのは折り紙のおかげだった。折り紙に助けられたという。

「いつでもどこでもでき、近所の子やおばあちゃんにあげれば喜んでもらえる。優しさをあげ、優しさの輪を広げる力が折り紙にはある。サバサバした今の世の中の潤滑油にしてほしい」と、とびっきりの笑顔で話している。

個展は1日から6日まで、同市湊通丁北のホテルアバローム紀の国のギャラリー龍門で。6日は髙木さんがアイデアを伝授する。





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