2010年11月30日

05.紀の川・岩出・海南・紀美野

三木さんに漆工技術者表彰

「これからも漆を愛し続けたい」と三木さん - 三木さんに漆工技術者表彰

「これからも漆を愛し続けたい」と三木さん

海南市船尾にある三木倉漆店の3代目で漆精製師の三木寛昭さん(68)がこのほど、日本漆工協会主催の平成22年度「うるしの日」表彰で優秀漆工技術者に選ばれた。漆工界の発展に尽力した優れた技術者をたたえるもので、県内では4人目。三木さんは「大変うれしい。命ある限り続けていきたいですね」と喜んでいる。


漆に携わって46年。祖父の倉之助さん、父の律夫さんから家業を継いだ。仕事中の律夫さんは鬼のように厳しく何も教えてくれなかったという。父の他界後、のんびりと父の背中を見ていた自分に気が付き、がむしゃらになって技術を吸収した。成長してから「技術は自分で盗めと言ってくれてた」と実感できた。

精製加工とは、漆の木から採取した原液から不純物を取る仕事。綿を入れてごみを付着させ、かき混ぜながら水分を調整して搾る。戦前の最盛期だったころ、黒江の町には同業者が33社あった。現在は化学塗料に押され、三木さんの店を含む2社だけに減った。

化学物と比べて天然物は独特の渋み、つやが美しい。精製した漆は全国各地の職人に買ってもらう。地域によって温度湿度が違うため、職人から返品される時も。職人の求める漆に応えられた時は最高の気分が味わえた。「漆は生きている。だから仕事中は自分に打ち勝つ精神が必要不可欠。親父に近付いてきたかも」とにっこり。父は昭和39年の第5回表彰で漆工功労者に選ばれた。三木さんは「自分はまだ親父の域には届いていない。漆を愛する気持ちは今も失いません。いつか親父を追い抜きたいですね」と目標を語った。





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