2010年12月18日

00.社会

介護支給義務付け全国初、脳性まひの男性一部勝訴

記者会見に応じる石田さん

記者会見に応じる石田さん

生まれつき脳性まひで、重度の障害がある和歌山市黒田の石田雅俊さん(42)が、和歌山市に対し、一日24時間の公的介護を求めた訴訟で17日、和歌山地裁は、 「原告の心身の状況など考慮すべき要素を十分に考慮しておらず、社会通念に照らし著しく妥当性を欠いたものというべき」 などとして、1カ月の介護サービスの支給量を一日あたり約13時間から、 16時間以上に増やすよう言い渡した。介護サービス支給量の義務付けは全国で初めて。

石田さんは平成16年4月に、市から1カ月535時間の介護サービスを受けていたが、障害者自立支援法が施行された19年には同377時間に削減されたため、介護サービスの支給量決定の取り消しと、終日介護を求め平成20年5月に提訴。

判決で髙橋善久裁判長は、平成21年に一カ月407・5時間となった介護支給量の決定を取り消し、一カ月の介護支給量を500・5時間以上744時間までとするよう同市へ言い渡した。これは、現在一日あたり約13時間の介護サービスを、16時間以上、最高終日介護まで増やすこととなる。判決後、弁護団の長岡健太郎弁護士らは記者会見を開き、長岡弁護士は 「(介護支給量を増やす義務づけは)画期的と評価できる」、石田さんは「市には判決を受け止めてもらいたい。言い分がある程度認められたのはうれしい」 と話した。一方で、終日介護の義務付けが認められなかった点について判決は、「原告の生命身体に重大な侵害を生じる恐れがあるとまではいえない。一カ月744時間とする介護支給決定としないことが、裁量権の逸脱とは認められない」 と指摘。また、夜間巡回の介護サービスの拡大を求めたことについて 「継続的な介護ではなく、巡回による介護を前提としたことに著しく妥当性を欠くものといえない」 、移動介護の拡大についても1カ月20時間と指定しているのを 「ほかの受給者の受給状況の事情からすれば、原告の意向を考慮しても相当である」 と棄却しており、石田さんは「移動介護はせめて約3倍の時間はほしい。どこかへ行く用意や移動する時間もある」と話した。長岡弁護士は「今後、控訴については検討したい」としている。

判決に対し大橋建一市長は 「詳細を把握していないので、改めて判決文を確認し、対応を検討していきたい」 とコメントした。





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