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「寛郎さんのおかげで別の人生が開け幸せ」 と話す小野田さん |
和歌山市西高松の小野田章和さん(81)がこのほど、 写真集 『魅せられた世界』 を出版した。 おととし暮れに脳梗塞で倒れて撮影できなくなったが、 リハビリを続けながら写真集制作に挑戦。 「普通の写真集ではなく自分史を」 と30年の写真人生を約170点の作品と節目節目のコメントで構成した。 小野田さんは 「多くの先生と写友に恵まれ幸運な写真人生でした」 とにこやかに話している。
小野田さんは二科会写真部会友。 二科展オリエンタル賞やコンタックスクラブ・ゴールデンシート賞など数々の受賞歴があるが、 カメラを手にしたのは52歳の時。 フィリピンルバング島から帰還したいとこの小野田寛郎さんをブラジルに訪ね、 コンパクトカメラで撮った写真がコンテストに入賞したのが打ち込むきっかけになった。
写真集は、 その 「イグアスの瀧」 を巻頭に、 年齢とともに変化した5つのテーマ別にまとめている。 ハスの花などの 「日本の四季」。 人物ばかりの 「デッサンを学ぶ」。 中近東やヨーロッパなどの人々や風土を写した64歳からの 「世界を旅する」。 祭りや生家の宇賀部神社(海南市)など、 人生の原風景をとらえた 「日本の伝統文化」 と 「小野田の里」。
「不器用ながらも一つ一つ心を込めて作品にすることを心掛け、 ひたすら突き進んできました」 と語る小野田さんにとって、 一番思い出深い作品はミャンマーの世界最長の木造橋を写した 「夕照」 という。
その写真が新聞に載り、 見知らぬ老人から 「切り抜いて机に飾っています」 と電話をもらった。 「その人が昔、 命をかけて過ごした戦場の橋だった。 何も知らずに撮った私にとって、 胸の痛む一枚」 と振り返る。
写真集には妻・和世さんが俳句を添え、 写真家の角尾栄治さんと脚本家の児島秀樹さん、 小野田寛郎さん、 次男の金司さん、 兄の一馬さんが文を寄せて頑固だが繊細な小野田さんの人柄を紹介。 ぬくもりある一冊になった。 小野田さんは 「皆さまの温かいご支援のたまものです」 と話している。
非売品。 問い合わせは小野田さん(TEL073・423・8578)、 または(株)西本 (TEL0120・016・860)へ。
「胸の痛む一枚」という作品 「夕照」
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