2011年02月14日

00.社会/観光学部一期生卒業へ

和歌山大学観光学部一期生卒業へ①

観光学部について語る大橋学部長

観光学部について語る大橋学部長

4年前、 和歌山大学は経済学部内に観光学科を設置、 翌年には学部として独立させ、 国立大学法人初の観光学部設置で注目を浴びた。 この春、 一期生70人が巣立つ。

観光学部が特に力を注いできたのが、 地域と学生の交流プログラム (RIP) だ。 県内の16市町村を対象に、 20年度の開始から3年間・16カ所で実施。 学生たちは現場で地域の人々と話し合い、 観光客を呼び込むためにはどうすればよいか、 地域資源の発掘に取り組んできた。

紀の川市には学生6人が2泊3日で農家や華岡青洲の顕彰施設 「青洲の里」 を訪れ、 農業を体験して意見交換。 農業の未来や跡継ぎ問題など、 地域が抱える課題を知った学生たちは、 体験農家観光による地域活性化の方策を探った。 学生たちは自分の目で見て体験することで地域振興の仕事への関心や理解も深まったという。

また同学部の客員教授で作詞家のもず唱平さん指導の下、 授業の一環で、 日高町の名物、 クエをテーマにしたテーマソングを作り同町のイメージアップや地域の活性化に一役買った。 歌で観光振興を図ろうというユニークな試みは、 豊かな感性を持ち合わせた同学部の学生ならではだ。

観光学部が柱に掲げる海外研修や海外インターンシップでは、 米国ハワイやイギリス、 オーストラリアなど各国へ約60人の学生を送った。 また県と協定を結び、 観光庁長官らを講師に招くなどして年10回開講する 「観光カリスマ講座」 は、 毎回100人以上が受講するなど盛況だ。 4月には大学院観光学研究科を開設。 5月には木造新校舎の観光学部棟が竣工予定で、 教育・研究環境がさらに充実する。

学生たちが身に付けた実践的な知識や経験を生かし、 目に見える成果も出てきた。 昨年末から3年生や4年生を中心に、 論文や映像制作、 提案など数々の全国コンクールの入賞の知らせも続いた。

今後の大きな課題は、 大学としていかに地域貢献できるかという点。 過渡期にある今はまだ手探り状態という。 「さまざまな市町村や団体からは、 観光学部に地域再生を期待する声も多いが、 やはり一緒に考えていくのが基本」。 学生が現地に出向き、 さまざまな体験をするには費用がかさむのも悩みの種といい、 今後は地域交流などで学生たちを受け入れる自治体の理解や協力も不可欠といえる。 産官学が連携した地域再生への本格的な道筋づくりはこれから。 観光立県を目指す和歌山から、 世界的な視野を持って活躍するエキスパートの育成を目指す。


地域再生や観光産業の人材育成を目指す同学部の4年間の軌跡、 見えてきた課題は何か。 初代観光学部長となり、 3月末までの任期が迫った大橋昭一氏(78)に話を聞く。





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