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事故捜査にあたる谷本さん |
警察庁長官から全国の優秀な警察官に贈られる警察功労章にこのほど、 和歌山北署交通課交通捜査係長の谷本貢警部補(56)が選ばれた。 全国で受章したのは93人で、 県警では谷本さん一人。 警察功労章は警察職員の累積功労に対する表彰としては最高位。 7日、 東京都のホテルで、 警察庁長官から表彰される。
谷本さんは昭和48年4月に警察官となり地域警察官を経て55年3月に、 岩出署交通課の交通係(現交通捜査係)へ配属された。
交通係となる前日、 同署管内で死亡ひき逃げ事故が発生し、 異動初日から捜査にあたった。 車の損傷程度、 タイヤのメーカー、 運転手の人物像など手掛かりが出るたびに県警本部や同署署員が該当する車をすべて当たり、 検挙に約40日費やした。 「ひき逃げ事故は遺留品がほとんどない。 検挙の難しさを思い知った」と振り返る。
交通捜査畑を歩む中で、 事故の被害者遺族と深く向き合うことがあった。 平成21年6月、 和歌山大学の男子学生(当時20歳)が大型フォークリフトにはねられた。 男子学生は愛知県出身で、 両親は裁判のたびに和歌山に出向いていた。 地理も分からず不安だろうと気遣い、 裁判には必ず付き添い見守った。 「私の顔を見せることで、 少しでも助けになればと思った」。 事故現場に被害者の級友が植えたダリアの花を見せようと両親に写真を送ると、 母親から返事とともに自宅に咲いた満開のダリアの写真が届いた。 「刑事処分が下っても、彼の命は帰らない。 痛ましい事故が起こらないことを祈る」 と目を伏せる。
平成21年、 県警本部長から 「技能指導官」 に任命され、 若手指導にも力を入れている。 「県民からすれば事故は一生に一度あるかないかのこと。 相手の立場に立って、 不安な気持ちを理解することが大切」 と熱を込める。 受章に対し、 「責任をより一層感じている。 章に恥じないよう改めて仕事を頑張っていきたい」と笑みを見せた。
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