2011年03月21日

00.社会

創意工夫で自主事業、和歌山市民会館

「市民に楽しんでもらいたい」と同館職員

「市民に楽しんでもらいたい」と同館職員

和歌山市都市整備公社が指定管理している和歌山市民会館(同市伝法橋南ノ丁)が元気だ。 予算ゼロで長年途絶えていた自主事業を、 4年前から工夫と熱意で多彩に実施。 来館者数が増え、 市民やアーティストとのネットワークが広がっている。 館主催のワークショップ受講生が、 落語の会 「紀(しるす)の会」 や 「市民プロデューサー協会」 を立ち上げるという新たな展開も生まれており、 同館は 「市民の館として、 まいた種を広げ育てていきたい」 と話している。

きっかけは5年前。 訪れた全国公共文化施設協会文化アドバイザー佐藤克明さんの言葉、 「お金がないからやらない、 というのはおかしい」 だった。

「貸し館だけの会館ではだめ。 事業を起こして発信していこう」 と職員が奮起。 さまざまな助成金を探し、 企画会社とのタイアップも始めた。 毎年の継続事業も多く、 本年度の自主事業は40近い。

実力ある地元出身アーティストに発表の場をと企画した 「同館プロデュース地元演奏家シリーズ」。 今月、 わかやま市民協働大賞優秀賞を受賞した 「夕暮れジャズカフェ」 と 「ティータイムクラシックカフェ」。 映画上映の 「センチメンタルシネマ」 「クラシックシネマ」 「ファミリーシネマ」。 オペラなどの文化庁 「優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業」、 ダンスなどの地域創造 「公共ホール活性化支援事業」 。

音楽家やダンサーによる小・中・高校での出前授業、 一般とプロによる老健施設や支援学校でのワークショップ、 本公演共演も好評。 演劇大学では受講生がチケット販売や舞台道具製作にも挑戦した。

同館企画員の中山博之さん(47)は、 「こんな時代ですから、 ワークショップで親子がスキンシップしたり、 いろんな人が笑顔でコミュニケーションを取っているのがうれしい。 最近市民会館のイメージが変わった、 親しみやすくなったと言われます」 と話す。

そして大きな成果は、 受講生同士のつながり、 同館と市民、 アーティストとのつながりが生まれ、 ネットワークが広がっていること。 昨年生まれた 「紀の会」 は落語ワークショップ修了生が、 「市民プロデューサー協会」 はプロデューサーの心得や実務の力をつける育成事業の受講生が自主的に立ち上げたものだ。

4月から2年間、 県民文化会館が耐震工事で使えなくなるため貸し事業が急増しているが、 中山さんは 「人材育成的な自主事業はどんどんやっていきたい。 市民の声を聞きながら発信し、 『市民会館に行けば何かやっている』 と言われる、 市民が集う館にしたい」 と話している。





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