2011年03月25日

00.社会

片男波アサリ消滅問題、食害の可能性大

県、 市、 和歌川漁協の職員で干潟の調査を行った(23日、 片男波潮干狩り場)

県、 市、 和歌川漁協の職員で干潟の調査を行った(23日、 片男波潮干狩り場)

和歌山市和歌浦南の片男波潮干狩り場からアサリが消えた原因がエイなどの外敵による食害の可能性が高くなったことが、 市の調査で明らかになった。 昨年3月に外敵が侵入しないように張ったネットの下ではこの一年間でアサリが増殖。 農林水産課は 「水質変化などの環境的な要因ではないようだ。 学者も食害と考えていいのではないかと判断していた」 と話している。

同所での潮干狩りは2年連続で中止され、 ことしもすでに中止が決定。 和歌川漁協の山下勇組合長(85)は 「ことしもできない。 早く再開できるといいんだけど...」 とため息。

アサリ消失の原因は、 エイやチヌなどの魚や、貝を食べるツメタガイなどの「食害説」 と水質や泥の中の栄養素が変わるなどの 「環境変化説」 があるとされていた。 そこで市は、 県と同漁協の協力を得て調査を開始。 昨年3月、 4地点で3メートル四方の中に900個のアサリを放流し、 外敵が侵入できないようにネットをかぶせて生育状況を見守っていた。 2カ月後には環境に適応できない約半数が自然死。 この時点では食害説や環境説の断定はできなかった。

しかしその後、 7月と10月にアサリの数を調べると、 ある調査地点では放流したものではなく、 自生していたアサリの数が増えてきていることが分かった。 5月に89個だったものが、 7月には919個、 10月には1628個、 今月10日の調査では2314個まで増殖。 ほかの地点でも同様の結果が得られたため、 アサリがいなくなった原因が干潟の環境変化ではなく、 外敵による 「食害説」 であることが裏付けられる結果となった。

23日には、 10メートル四方のネットを3カ所に敷設。 アサリを放流しない地点、 500個を放流する地点などを設定し、 継続観察する。 効果があればネットを増やすなど対策を進めるという。

また、 26日には県、 市、 同漁協などで構成する県和歌山市干潟保全対策地域協議会(仮称)を立ち上げ、アサリの保護・育成だけでなく干潟の保全対策についても議論を深めるという。漁協関係者は「アサリなど海の生物に興味を持ってもらえるきっかけになるのが干潟。 みんなが楽しめる場所としてもっと知ってもらいたい」と話している。





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